脱毛サロンの開業時に届け出は必要?必要なケースと手順や手続きを解説
飲食店や美容室など、店舗を開店する時は保健所に届け出を提出する必要があります。脱毛サロンの開業でも届け出は必要なのか、悩んでいらっしゃる方もいるのではないでしょうか。
今回は脱毛サロンの開業時に届け出が必要なケースについて、詳しくご紹介します。
保健所に書類を提出する時の手順や手続きの必要性についても解説しているので、これから開業を検討されているオーナー様もぜひ参考にしながらチェックしてみてください。
脱毛サロン開業に保険の手続きは原則必要
脱毛サロンを開業する際、国家資格をお持ちのオーナー様の場合は保健所への申請が必要です。「美容所開設届書」という書類を保健所に提出します。開業日の1〜2週間前に提出するのが基本ですが、開業後1ヶ月以内であれば申請が可能です。
高い安全性と設備が整った環境が求められる国家資格では、保健所に有資格者の免許証の申請が必要です。
しかし国家資格保持者ではないオーナー様が脱毛サロンを開業する場合、上記の届け出は必ずしも提出する必要はありません。提供するサービスによって届け出が必要なケースもあるので、届け出を出すか迷っている時は店舗で提供するメニューの内容やサービスについて確認してみましょう。
ちなみに「開業届」は、個人経営の脱毛サロン開業時に必ず提出する必要があります。国税庁に提出する書類と、保健所に提出する書類は異なるので事前にチェックしておくのがおすすめです。
脱毛サロン開業で保健所の届出が必要なケース
脱毛サロンの開業で届け出が必要となるケースは、どのような場合でしょうか。以下のようなメニュー内容を検討しているオーナー様は要チェックです。
- 顔脱毛のメニューで顔周りのシェービングを行う
- カミソリで顔や産毛などシェービングを行う
- 医療脱毛でレーザーを搭載した脱毛を行う
メニューによっては国家資格を取得していないと、サービスが提供できない場合もあります。サービス内容に合わせて、どのような届け出が必要となるのかを詳しくご紹介していきます。
顔脱毛で顔のシェービングを行うケース
顔の産毛や、ヒゲなどの顔脱毛メニューを検討されているオーナー様も多いのではないでしょうか。しかしカミソリなど刃がついた道具で顔のシェービングを行う場合は、届け出が必要です。電気シェーバーような安全性に優れた器具でも、届け出は必要なので注意しましょう。
「美容所開業届所」を提出すると、保健所から安全性や衛生面を確認する立ち入り検査が行われます。基準を満たして審査が通ると「美容所確認済書」という証明書が発行され、店舗の開店が可能です。
カミソリで本格的なシェービングを行うケース
カミソリなどの刃を使ったシェービングは、体の脱毛メニューでも届け出が必要です。顔のシェービング時と同じく開業の1~2週間前までに「美容所開業届」を保健所に提出し、保健所の立ち入り検査を行います。店舗内の衛生面や安全性などが審査されるので要注意です。
基準をクリアすると「美容所確認済書」が発行され、開業が可能になります。
医療レーザー脱毛を行うケース
レーザー式の業務用脱毛器を使用した医療脱毛を行う場合は、国家資格が必要になります。医療レーザー脱毛は医療行為に当たるため、クリニックや病院の医療機関でのみ行われている脱毛方法です。
医療レーザー脱毛を行う店舗の開業には、従業員で国家資格保持する人の一覧や国家資格を取得した修了書の提出が必要です。一覧では国家資格保持している従業員は、すべて記載するようにしましょう。
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脱毛サロン開業の保健所への届出の手順
脱毛サロン開業で届け出を保健所に提出する場合、以下の手順で申請を進めていきます。
- 内装施工前に保健所に相談
- 保健所に必要な書類を提出
- 保健所の立ち入り検査を済ませる
- 確認書を受け取る
開業というと店舗の内装やメニューの選定などに力を入れがちですが、開店準備は保健所へ書類を提出することも大切です。開店間際で慌てないためにもどのような手順で準備を進めればいいのか、必要となる書類についてもチェックしていきましょう。
1.内装施工前に保健所に相談する
店舗のレイアウトを決めて本格的に内装工事に入る前に、規定に合った内装かどうかを保健所に相談してみましょう。保健所ではサービスを提供する室内の面積に対して設置可能な机と椅子の数や、室内の照明の明るさ・換気設備の有無などが定められています。
内装工事を始める前に確認することで、施工業者とのトラブル回避にも繋がります。施工後で内装を大きく変更するとなると追加料金が発生したり、店舗のオープン準備に支障が出てしまう恐れもあったりするので注意が必要です。
保健所の設けられている内装規定は、地域によっても異なります。店舗の管轄内の保健所ではどのような規定が設けられているか、施工前に保健所の職員に詳しく相談してみるのがおすすめです。
2.保健所に必要書類を提出する
内装の施工が完了し、保健所の規定に沿った店内のレイアウトが完成したら保健所に必要な書類を提出しましょう。提供するサービス内容によって必要となる書類が異なりますが、脱毛サロンを開業する場合、このような書類が必要になります。
- 開設届
- 店舗の構造設備の概要
- 店舗の平面図
- 店舗付近の見取り図
- 従業者一覧(国家資格保持者の場合)
- 従業者の理・美容師免許証、管理理美容師の修了証(国家資格保持者の場合)
- 医師の診断書
カミソリでのシェービングや医療脱毛のメニューを検討している場合は、サービス提供を行う国家資格保持者の従業員一覧・免許証や修了証を提出する必要があります。
法人で脱毛サロンを開業されるオーナー様は、6ヶ月以内に発行済みの登記簿謄本の提出も必要です。さらに外国人のスタッフを雇う場合は、外国人登録証明書も必要となるので注意しましょう。
3.保健所の立ち入り検査
保健所に必要書類を提出すると、職員が店舗を訪れて立ち入り検査を行います。検査は届け出の内容と実際の店舗に異なる点がないか、保健所の規定に反していないかチェックするためです。
立ち入り検査には2万円前後の費用がかかり、届け出を提出した時に一緒に支払う必要があります。店舗の管轄内の保健所によって金額が異なるので、事前に確認しておくことが大切です。
4.確認書の受け取り
立ち入り検査が終了し保健所の規定を無事にクリアすると、確認書が発行されます。保健所から連絡を受けたら、印鑑を持参し受け取ります。
店舗の管理者やスタッフの変更があった場合は、先ほどの届け出を新たに作成して再提出が必要です。確認書に記載されている内容に変更がある場合は、速やかに必要書類を揃えて保健所に提出しましょう。
脱毛サロン開業の保健所への提出書類
脱毛サロンを開業する時に提出が必要な書類は、店舗のサービス内容によって異なります。
それぞれどのような役割をもつのか、書類の内容について解説します。手続きの流れと一緒に書類の内容についてもチェックしていきましょう。
開設届
開設届は店舗の名称や、所在地・オープン予定日などを記載した書類のことを指します。税務署に提出する「開業届」と名称が似ていますが、同じものではないので注意しましょう。
開設届は管轄内の保健所のホームページから入手することができるので、保健所に直接行かなくても揃えることが可能です。
構造設備の概要
保健所の立ち入り検査の際に、店舗の衛生面の構造設備を確認するために必要となる書類です。脱毛サービスを提供するスペースや、使用する道具の消毒方法・照明有無などを記載します。
開設届と同じく保健所のHPから入手ができるので、直接出向いて揃える必要はありません。
施設平面図
店舗の内装を図面化した書類のことを指します。提出する際は、内装の施工業者から入手する必要があります。
保健所の基準を満たしているか心配なときは、換気の配置や机とイス・サービスを提供するスペースなどを施設平面図をもとにしながら、保健所の職員にチェックしてもらうと良いでしょう。
付近の見取り図
店舗の周囲の環境を図面化した書類です。ビルのテナントに入っている場合は、テナントの周辺情報がわかるものを用意します。
ネットで店舗の住所を検索し、周辺の立地がわかりやすいオンラインマップを印刷しておくと便利です。
従業員名簿
脱毛サロンに関わる従業員の一覧にした書類で、管轄内の保健所で入手し記載する必要があります。
さらに国家資格に該当する理容師や美容師・医師・看護師などの資格を保持している人は、資格を取得した年月日や資格の番号の記入が求められます。
従業員全員の必要事項を記入するため、変更があった場合は速やかに再申請が必要です。
理容師・美容師免許
理容師・美容師・医師免許などの国家資格を保持しているすべての従業員の本証が必要です。
さらに従業員に複数の理容師・美容師が在籍している場合は、管理理容師・管理美容師を置くことが決められています。
ちなみに国家資格取得は資格試験をクリアするだけでなく、数年単位の実務経験も合否に関係します。
医師の診断書
国家資格保持者の場合、資格取得者全員分の診断書を保健所に提出する必要があります。特に診断書で重要視されるのは、結核・伝染性皮膚疾患などの有無です。
3ヶ月以内の診断書のみが有効となるので、従業員から集めた診断書が期限内であるかよく確認しておきましょう。
検査手数料
保健所の立ち入り検査には、検査費用がかかります。店舗の管轄の保健所によっても少々異なりますが、約2万円程必要となるので書類と合わせて準備しておきましょう。
詳しい検査手数料については、開業予定の管轄の保健所のHPをチェックしてみてください。
その他の書類
上記でご紹介した書類の他にもオーナー様が法人の場合は、登記事項証明書の原本が必要になります。
さらに外国人の従業員を雇う場合は住民票の写しが必要になったり、管轄の保健所によっては誓約書の記入を行ったりとサロンによって必要となる書類が異なります。
オーナー様の店舗の場合はどの書類の提出が求められるのか、管轄の保健所のホームページをよくチェックしておくことが大切です。
脱毛サロン開業後の保健所への変更手続き
ここまで脱毛サロンを開業する時に必要な書類や、手続きについて詳しくご紹介してきました。しかし状況によって、保健所に開業の手続きをした後に変更点が出てくる可能性もあります。
サロン開業後に事業内容の変更や従業員の変動があった場合、保健所に届け出を提出するケースもあるので確認して対応するようにしましょう。
脱毛サロンの管理者を変更したり、店舗を大きく増築・もしくは移転したりする場合は「新規開設届」が必要です。
さらに法人の代表者であるオーナー様を変更したり、サロンの規模を少し改築したりする場合は「変更届」の提出を求められます。
この他には、従業員の退職や移動・新規雇用を行った時には「従業者変更届」や、サロンを人へ相続したりサロンを運営している法人が合併もしくは分割したりする場合は「継承届」が必要になるので注意しましょう。
脱毛サロンを辞めて店舗自体を閉店する時には、「廃業届」の提出が必要です。
脱毛サロン開業時の届出について
脱毛サロンの開業時は保健所以外にも、税務署に提出しなければならない書類があります。開業時には「開業届」の提出が必要です。開業届の提出に必要となる書類は、どのようなものかチェックしていきましょう。
開業届の必要書類
開業届は国税庁のHPからダウンロードして入手するか、税務署でもらうことができます。ちなみに正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」で、開業だけでなく廃業を届け出る際にも同じ書類が必要になります。
サロンを開業してから1ヶ月以内の提出が求められるので、開業前に書類の記入を済ませておくと良いでしょう。提出する際は、店舗の所在地の管轄内にある税務署へ行います。
開業届には以下のような内容を記入し提出します。
- 提出先の税務署名
- 納税地(自宅でサロンを開業する場合は自宅の住所)
- 氏名
- 生年月日
- マイナンバー
- 事業名(エステサロンや美容サロンなど)
- 屋号
- 開業日
- 具体的な事業内容(メニュー内容や脱毛サービスの手順など)
開業届を提出する際は手数料がかかりません。マイナンバーカードや身分証明に必要な証明書を用意し、記入した開業届を提出すればOKです。
青色申告書の申請も忘れずに行う
個人経営で脱毛サロンを開業する場合、確定申告は青色申告書で行うのがおすすめです。青色申告書は最大で65万円の特別控除や、最長3年間赤字を繰り越せるなどのメリットがあります。
個人事業主の場合は『青色申告承認申請書』を提出して申請が必要です。提出先は開業届を提出した税務署です。申請が通れば、青色申告書で確定申告を行うことができます。
しかし青色申告承認申請書は提出期限があるので、開業届に記入した開業日をよく確認しておくことが大切です。
[提出時期]
青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日(非居住者の場合には事業を国内において開始した日)から2月以内。)に提出してください。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
参照:国税庁 [手続名]所得税の青色申告承認申請手続~
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
青色申告承認申込書も開業届と同様に手数料はかからず、税務署への郵送も可能です。開業した年から青色申告ができるように早めに準備を進めておくと良いでしょう。
まとめ
脱毛サロンの開業する際は、店舗の管轄内の保健所や所在地の税務署に届け出の提出が必要になります。脱毛サービスの内容や従業員の国家資格の有無によっても、必要となる書類が異なるので、オーナー様の店舗の場合どの書類が必要なのか事前にチェックしておくのがおすすめです。
届け出の種類によっては有効期限があるものもあり、開業してから必要な書類を揃えるとなると大変です。開業後も変更事項があった時は、届け出の提出が求められるケースもあります。
迷った時は今回ご紹介した手続きの手順や、届け出の種類などを参考にしながらどのようなものが必要かをぜひチェックしてみてください。