更新日:2023.02.28

脱毛サロンの利益計画とは?黒字経営の秘訣とコツを解説

脱毛サロンの利益計画とは?黒字経営の秘訣とコツを解説

脱毛サロンを長く経営していくためには、安定した利益を上げることが大切です。しかし売上が上がっているのに、利益がほとんど残らないというケースもあります。

今回は安定して脱毛サロンを継続していくために、チェックしておきたい利益計画について詳しくまとめました。

黒字経営を長く続ける秘訣やコツについても紹介しているので、これから脱毛サロンを開業されるオーナー様や、事業拡大を検討されている方も必見です。

脱毛サロンの利益率

脱毛サロンを長く経営していくためには、売上やコストなどあらゆる物事を数値化して見る必要があります。特に利益率はどれくらいの売上を出しているのかを数値で把握できるので、小まめに確認しておきたい項目です。

開業後に売上が順調に伸びていても、使用している消耗品のコストや原価も売上に比例して上がっている場合もあります。利益率は売上だけでなく、利益をしっかりと把握するのに役立つため、本当に利益が上がっているのか確認できます。

脱毛サロンの利益率とは

脱毛サロンの利益率は店舗によって導入する業務用脱毛機の種類や、消耗品の量・物販の有無などで異なります。

利益率はこのように算出します。

  • 売上-売上の原価 = 粗利
  • 粗利÷売上x100 = 利益率(=粗利率)

開業後は思った以上に経費がかさむ場合も多く、すぐに利益を大きく上げることは大変難しいと考えておいた方が良いでしょう。顧客獲得に力を注ぎ、店舗のリピーターが増えてくると後々利益率が上がりやすくなるので、長期間来店してもらえるようなメニュー展開や回数券などの発行もおすすめです。

利益率と売上の違い

売上が上がっていても、利益率を計算すると開業時と横這いのままというケースも少なくありません。利益率と売上は必ずしも比例するとは限らないので、違いをよくチェックしておくことが大切です。

売上はサービスを提供したり、商品を購入してもらったりする時に発生する金額のことを指します。脱毛サロンの場合は脱毛サービスのコース契約時の金額や、物販購入・有料オプションなどをすべて売り上げとして計算します。

一方で利益率とは、売上からサービス提供にかかる消耗品・人件費などのコストを引いた金額を割合で表したものです。

例えば売上250万円に対して消耗品などのコストが170万円かかった場合、利益は80万円です。250万円の利益を売上の250万円に対して割合を求めると、32%の利益率がでます。

売上が250万円でも消耗品などにかかった費用が120万円の場合は、利益が130万円と多くなり同じ売上額でも利益率が52%と高くなります。

脱毛サロンの平均の利益率

一般的な脱毛サロンの場合仕入れ原価が8%、営業利益率が15%前後が多いです。

しかし開業時にかかる内装施工や、店内のリフォーム・脱毛器の導入費用などの初期費用は含まずに算出できますが、売上が少ないと利益率も低くなりやすいので注意しましょう。

スタッフを雇用する場合は売上の原価に人件費が含まれるため、毎月のランニングコストも大きく左右します。毎月の人件費は大きな出費となるため、やみくもにスタッフの増員を行うのは注意が必要です。

脱毛サロンの利益計画とは?

利益計画とは売上・費用・利益の目標を掲げた計画書のことです。安定した利益を確保するためには、売上目標だけでなくかかる費用と利益率を数値化することで具体的に将来をイメージすることが可能です。

利益計画書には1年間を想定して計画を行う「短期利益計画」と、3~5年を目安に計画する「長期利益計画」があります。

長期計画書は長く安定してサロン運営を続けるために、どのようにして売上を確保するかを冷静に考えやすくなります。

事業拡大を視野に入れているオーナー様の場合、売上は増えても利益は横這いで変わらず経費がかさんでしまう状況をいち早く把握しやすくなり、経営状況を整えられるでしょう。

一方短期利益計画は1年という短期の計画で月々の利益を細かく算出し、毎月の目標を達成するために必要な利益率を算出します。計画を細かく立てることで、利益率が下がる原因や打開策なども検討しやすくなります。

脱毛サロンの利益計画の決め方

実際に脱毛サロンの利益計画を立てる場合、どのような部分に着目しながら作成すれば良いのでしょうか。必要以上にコストをかけ過ぎないために、まずは売上から引かれる毎月の経費の内訳をしっかりチェックしておくことが大切です。

毎月のランニングコストが高いと売上をいくら上げても利益率が低く、利益を増やすことができません。開業にかかる費用とは別途の経費なので、利益計画を立てる場合は分けて算出します。

さらに売上が上がった場合、変動する費用についてもチェックしておいた方が良いでしょう。特に消耗品や備品は来客数が増えれば必要数も増えるため、どうしてもサロン運営にかかる経費が多くなります。

月々にかかる経費は内訳によって固定的にかかるのか、変動があるのか異なるので利益計画を立てる際には細かく分類して確認しておくのがポイントです。

固定費とは

固定費とは物件の家賃や人件費・業務用脱毛機のリース代・広告宣伝費など、毎月一定の金額でかかる出費のことです。

売上が0という月でも固定費の出費は変動がなく、毎月かかるので注意しましょう。しかし固定費は売上が上がっても、一定の金額のため変動がありません。

売上額に左右されない分、経費の見直しが必要な時に節約しやすいともいえるでしょう。

変動費とは

売上額に応じて変動する費用のことを変動費と呼びます。商品の売上原価・商品仕入高・外注費などです。

脱毛サロンの場合は物販に伴う商品の仕入れ額や、サービス提供時に使用する消耗品など、来店に伴いサービス提供や商品購入で売上に応じて変動する費用が該当します。

変動費は売上が0の場合は売上原価も0なので減ることはありませんが、売上が2倍になれば変動費も増えて2倍になるので注意が必要です。

脱毛サロン利益計画の手順

サロンを開業してから安定した黒字経営を続けるためにも、利益計画をしっかり立てておくのがポイントです。売上だけを気にするのではなく、月々のランニングコストを把握することで利益率をチェックしながら細かく確認していきましょう。

脱毛サロンの利益計画を作成する時のチェック手順をご紹介します。

1.月々のランニングコストからの固定費を割り出す

固定費は売上が低くても、一定額が必要となる費用です。毎月の家賃・業務用脱毛器のリース代・人件費・光熱費に毎月いくらかかっているのか、月々のランニングコストから固定費を割り出していきましょう。

特に人件費は費用の負担額が大きいため、必要以上の従業員を雇用すると固定費を圧迫することもあります。正社員やパート・アルバイトなど雇用形態によっても、毎月必要となる額が異なるので、従業員を雇う場合は毎月かかる人件費をよく確認しておくのがおすすめです。

人件費の次に大きな出費となるのが月々の家賃です。店舗の立地条件や、地域差によっても家賃の価格が異なります。

しかしサービスを提供するためのベッドの台数が少ない場合は、必ずしも広い物件で運営する必要はありません。ベッド1台だけの小規模サロンを運営する場合は、家賃のかからない自宅の1室や、10万円前後のマンションの一部屋を借りて開業することも可能です。

2.利益額の計算を行う

固定費を把握した後は、利益額の計算をしていきましょう。月々の売上から固定費・変動費など売上原価を引いて「粗利」を算出します。粗利とは利益額のことで、粗利から売上を割り100をかけると利益率を求めることができます。

利益計画を立てる場合は売上目標額を立て、月々の売上原価を引き利益額を差出しましょう。売上原価が高い場合、売上額が多くても利益額は少なくなります。

売上目標額を高く設定しても売上原価に費用がかさむと、利益額が上がらないので注意が必要です。

店舗でのサロン展開と自宅の一室でサロン開業した場合を比べながら、利益額を詳しくみていきましょう。

賃貸脱毛サロンの場合

賃貸で脱毛サロンを運営する場合、毎月の家賃が固定費で必要です。

物件の家賃が30万円のサロンで業務用脱毛器のリース代が月3万円・借入なしのケースを想定して、利益額を算出してみましょう。

  • 目標売上金額 33万円(固定費)÷0.2=165万円
  • 利益見込み額 165万円(売上)×0.3=49万5千円
  • 変動費 165万円(売上)-33万円(固定費)-49万5千円(利益)=82万5千円

安定した黒字経営を目指すために、固定費は毎月の売上の20%以内を目安に設定しました。一方で利益率は、一般よりもやや高めの30%目安に算出しています。

家賃30万円の賃貸の場合は30%の利益率にすると、82万5千円まで経費を抑える必要があるのがわかります。

自宅脱毛サロンの場合

自宅の一室で脱毛サロンを開業する場合、家賃は発生しません。賃貸のケースと同じく、固定費は業務用脱毛器のリース代が月3万円・借入なしのケースを想定し算出してみましょう。

  • 目標売上金額 60万円
  • 利益見込み額 60万円(売上額)×0.3=18万円
  • 変動費 60万円(売上)- 3万円(固定費)-18万円(利益)=39万円

利益率は30%で計算しています。家賃が必要なく、オーナー様のみで運営をされる場合は固定費がほとんどかからないため、変動費をよく確認することが大切です。メニューの設定価格や、消耗品のコストを見直して経費を調節すると良いでしょう。

3.脱毛サロン利益計画の目安を参考に経営プランを立てる

利益計画を作成した後は、計画を参考に今後の脱毛サロンの経営プランを立てていきましょう。安定した黒字経営を続けるために必要な利益額がわかると、毎月の売上目標額を算出できます。

例えばメニュー価格を設定する場合、売上目標額から営業日数・来客予定数・1人あたりの客単価を割ると、どのくらいの価格設定を行えばいいのか具体的な数値でわかります。

やみくもにメニュー価格を決めると利益がほとんど上がらず、来客数が増えると赤字になる可能性があります。利益計画をもとに計算してみましょう。

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脱毛サロンの開業に必要な準備と重要ポイントまとめ

脱毛サロン黒字経営の秘訣とコツ

脱毛サロンは従業員の少ない小規模の店舗展開や、オーナー様1人だけで運営するプライベートサロンとしても経営が可能です。販売業や飲食店よりも固定費をを抑えやすいため、30%以上の利益率を見込むこともできます。

実際に安定して脱毛サロンの黒字経営を行っていくには、どのような部分を注意していくと良いのか詳しく見ていきましょう。

経営者マインドを学ぶ

脱毛サロンを開業されるオーナー様の中には、サービスを提供するスタッフ業務を兼任される方も多いでしょう。オーナーとして開業する場合は接客テクニックや技術力だけでなく、経営者としての知識を身につけることも大切です。

店舗のどの部分に投資するのがベストなのか、従業員を雇う場合はどのような手続きが必要なのか経営者側の立場でサロン全体を見ていかなくてはなりません。

事業拡大や業績をアップさせるには店舗のどの部分を重視すれば良いのか、目標に合わせて店舗の経営状態や売上をしっかり把握する必要があります。

さらに脱毛サロン業界全体の動きや、美容のトレンドを押さえて顧客のニーズに合ったサービスを提供していくことも求められます。サービスを提供するスタッフとしてだけでなく、店舗全体を常に考える広い視野での経営の勉強も行っていきましょう。

新規顧客の集客を積極的に行う

リピーターはもちろん大切ですが、新しく店舗のファンとなって通い続けてくれる新規顧客の集客に力を入れることも大事なポイントです。

初回利用がお得になるキャンペーンや、他店舗からの「乗り換え割引」・学生や主婦など特定の年齢層に向けた「年代別割引」・友達や家族と一緒に通う時に使える「紹介割引」など顧客ニーズに合わせて展開してみましょう。

サロンの良さをお客様に体感してもらうには、来店してもらわないと伝わりません。ニーズに合ったキャンペーンは、脱毛サービス自体を初めて利用する人にも来店のハードルを下げてくれます。

クロージングを強化してリピート率を高める

「クロージング」とは、契約を結んで次回の来店へと繋げるという意味で使われている業界用語です。来店時に次回来店の契約を結ぶことで、顧客の固定化を目指します。

しかしクロージングはただメニュー内容を説明したり、淡々とサービスを提供したりするだけでは上手くいかないことが多いです。

お客様が悩んでいる部分に寄り添ったサービスを提供できるか、どうなりたいかを具体的にカウンセリングしながら、店舗に通い続けることでお客様にとってどのようなメリットがあるのかをお話していきましょう。

無理に契約を進めたり、強引なクロージングを行ったりするのは避けるようにします。店舗に長く通い続けるファンを作るには、お客様に寄り添ったクロージング力を強化するのがポイントです。

メニューや物販も充実させて客単価を上げる

売上額を上げるためには、利益率を意識してメニュー価格を設定するのが大切です。あまりに低額な価格設定だと十分な利益が出ず、来店数が増える度に赤字になってしまう可能性もあります。

メニューの価格だけでなく、物販の取り扱いも売上を上げる大事な要素です。契約の消化で来店するお客様に対して、物販や都度払いの新しいサービスなどを提案することで売上アップに繋げることもできます。

特に物販はサービスを提供する時間を確保しなくても、売上をアップし客単価を上げることができるので店舗の特色に合わせて、ホームケア用品などを導入してみるのがおすすめです。

余分なコストを削減する

せっかく売上が上がっても売上原価でコストがかかってしまうと、利益を上げることができません。小まめに余分なコストを削減できるポイントがないか、月々の固定費や変動費をチェックすることが重要です。

経費の分類が曖昧になっている場合は、毎月定期的に一定額かかる経費を「固定費」・売上に応じて変動する経費を「変動費」として分類することから始めてみましょう。

分類することで店舗を運営する上で、必要な経費なのかわかりやすくなります。

予約の回転率を上げる

お客様の予約スケジュールを管理する場合、サービス提供にかかる平均時間を把握できていないとスケジュールに無駄な空きができてしまったり、ダブルブッキングしたりする可能性があります。

効率良くスケジュールを管理して予約の回転率を上げるためにも、脱毛サービスの提供にかかる時間を予め把握しておきましょう。

部位や、照射範囲によってサービス提供にかかる時間は異なります。脱毛サロンの場合は照射部位のシェービングが事前に済んでいるかどうかでも、必要な時間が変わるので注意が必要です。

予約時に希望部位のシェービングは自己処理が可能かどうか、事前に確認しておくのもおすすめです。

事務作業を効率化する

脱毛サロンはサービスの提供以外にも、多くの事務作業があります。このように多岐に渡るため、手動で管理すると膨大な時間と手間がかかります。

  • 予約スケジュールの管理
  • 顧客情報の管理
  • 従業員のシフト作成
  • 毎日の売上管理

自動で予約や顧客管理を行ってくれる管理システムや、シフト作成をスムーズにするテンプレート・売上管理を簡単な入力で済ませられるシステムなど、事務作業を効率化するツールの導入を検討してみましょう。

特にオーナー様お一人で運営されている場合は、時間のかかる事務作業を効率化することで負担が軽くなります。事務作業にかかっていた時間を効率的に使えるようになるので、他の業務にもとりかかりやすくなります。

まとめ

脱毛サロンは小規模で開業しやすく、利益率も高く運営しやすいという特徴があります。しかし安定して黒字経営を行うには、ただ売上を上げるだけでは思うように利益が増えないケースもあるので注意が必要です。

売上だけでなく固定費・変動費を細かく分類し「利益計画」を作成して、サロンの利益を上げられるように意識していくことが大切です。

安定した黒字経営を目指しているオーナー様は、今回ご紹介した内容を参考にしてみてください。

このコラムの執筆者

株式会社コンフォートジャパン コラム編集担当
株式会社コンフォートジャパン コラム編集担当
株式会社コンフォートジャパン コラム編集担当
コンフォートジャパンのコラム編集担当です。
美容業界で長く美容機器メーカーとして存続しているコンフォートジャパンが、皆様のお声に応えるべく、脱毛関連はもちろんのこと、サロン運営に役立つ情報を発信していきます。