エステサロンの事業計画書の書き方をポイントを絞って解説
「事業計画書ってどうやって書くの?」「そもそも、事業計画書って何?」と、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、事業計画書についての説明と、日本政策金融公庫が公開している事業計画書の例をもとに、事業計画書の書き方についてお伝えします。
事業計画書に書く内容が分からなくて困っている方は、ぜひ参考にしてください。
エステサロンの事業計画書はサロン経営するために重要
エステサロンの事業を始めるにあたって「どのように開業準備をすればいいのか」「どんなプランで経営をしていくか」といった計画を立てることが重要です。
何の計画性もなく、エステサロンの運営を続けていくことは難しいものです。エステサロンの開業後、経営を軌道に乗せていくために事業計画書は必要な資料です。
事業計画書には、たとえば以下の項目を具体的な数字や文章にして記入していきます。
・どんなサービスを強みとするサロンにするか
・どれくらいの売り上げを前提としているか
・必要な経費はどれくらいか
・雇う予定の従業員人数
行き当たりばったりの経営にならないように、事前にしっかりと検討しておくことが大切です。
もし金融機関に融資を申し込んだり、補助金の申請に使用したりする場合には、事業計画書が審査を左右するポイントです。そのため、細かな部分までしっかり書く必要があります。
融資を受ける予定はなく経営者の計画をまとめるだけの場合は、形式的な事業計画書でなくても問題ありません。ですが、先の見通しを立ててから事業を始められる程度に、文章に表すことでもメリットが多いといえます。
エステサロン事業計画書のメリット
金融機関で融資を受ける際には、事業計画書の提出が求められます。事業計画書で金融機関を納得できるかどうか、融資を受けられるかどうかのカギとなります。
事業計画書を読んだ金融機関が「このエステサロンにお金を貸しても、ちゃんと返済できそうだ」と納得してくれるような、事業計画書の内容が必要です。
事業計画書には、具体的な数字を用いて売り上げ見込みやお客様の単価などを記入します。
具体的に事業の内容を文章にすると「なんとなく経営は難しそうだ」と、漠然とした考えから「どこがどう足りない」のように、課題を明確にできる良い機会でもあります。
事業計画書とは
事業計画書とは「エステサロンを開業してから経営を続けていくための、方向性を描いた地図」のようなものです。
開業以降の中期的な経営方針や事業計画・資金計画を策定し記入します。開業後3〜5年程度の期間が目安です。記入項目は多岐にわたり、たとえば以下のようなものがあります。
・創業動機
・経営者のキャリア・実績
・サービス内容
・従業員数
・コンセプト
・開業資金
・運転資金
・必要融資額
・売り上げ予測
・経費予測
・集客方法
関連記事:エステサロン開業に必要な準備とは?開業前から開業後まで運営を安定させるためにメーカーが教えるポイント
日本政策金融公庫が公開している事業計画書が参考にできる
「健全なサロン経営のために事業計画書を作成した方が良いのは分かったけど、何の情報から書いたら良いのか分からない」という方も安心してください。
日本政策金融公庫が公開している事業計画書の例があります。
全て1から作成する必要はありません。日本政策金融公庫が公開している、この事業計画書を利用して作成すると良いでしょう。
エステサロンの事業計画書はどう書く?書き方を解説
ここからは、日本政策金融公庫が公開している事業計画書を参考にして、具体的な事業計画書の書き方をお伝えします。
創業の動機
最初の項目である「創業の動機」には、経営者にあたるあなたが「事業を始めようと考えたきっかけ」を書きます。
「エステが好きだから」といったような感情のみでは、金融機関が融資を決定するほどの説得力がないかもしれません。
たとえば
・エステを受けたことがきっかけで、毎日笑顔で過ごせるようになった。今度はエステを通して、お客様にやすらぎのひとときを提供したいと考えている。
のように、具体的にエステサロンの開業に至った経緯を記載しましょう。書く欄が足りなければ、別紙に記載して添付してください。
経営者の略歴等
「経営者の略歴等」の項目は、いわば履歴書の職務経歴書にあたる部分です。
明確な基準はありませんが、卒業学校・学科名や勤務先の正式名称・部署名などを記入します。
略歴
略歴では「あなたがどんな経験を積んできたのか」を示し、経営者として適しているポイントをアピールする項目でもあります。
エステサロンの開業であれば、過去のエステティシャンとしての勤務経歴を記載します。
エステティシャンとしてのスキルはもちろんですが、店長としての勤務実績や新店舗の立ち上げ業務に関わったことがある・組織のマネジメントに関わった経歴があると、経営者としての素質もアピールすることができます。
過去の事業経験
過去の事業経験は
- 事業の経験なし
- 事業の経験があり、現在も継続している
- 事業の経験があったが、すでにやめた
以上3つの選択制となっています。
該当するものを選び、チェックを入れてください。
すでに過去の事業をやめている場合は、やめた時期もカッコ内に記載します。
取得資格
「取得資格」の欄では、あなたがエステサロン開業のために取得した資格を記載します。ない場合は、「特になし」の欄にチェックのみで大丈夫です。
取得した資格がある場合には「有」にチェックを入れた後、取得した資格の正式名称と取得年月日を記入します。
知的財産権等
「知的財産権等」の項目では、創業にあたって商標登録や特許など保有しているものがあれば「有」にチェックを入れて記入してください。
「有」の場合には「申請中」もしくは「登録済」のどちらかにもチェックを入れるのを忘れないように注意が必要です。
取扱商品・サービス
「取扱商品・サービス」の項目は、事業計画書の要となる部分です。
商品が売れなければ、経営が回らなくなってしまいます。あなたが創業する『エステサロンの強みは何なのか』『1番の売りは何なのか』をよく考え記載します。
取扱商品・サービスの内容
こちらの項目には、エステサロンの稼ぎ頭となるような主力商品となるサービスの内容を記載します。業界の専門の人ではない人が読んでも理解できるように、できるだけ分かりやすく書いた方が親切です。
書面に書いてある内容を見た金融機関の担当者が、サービスの内容を把握できるように意識して記載します。
「取扱商品・サービス」の内容にはサービスを3つ書く欄があります。サロンの売り上げ上位3位までの商品・サービスを記載します。
セールスポイント
セールスポイントには「競合エステサロンとの差別化を図れるポイント」を記載します。具体的な数字を入れながら記載し「どう事業を展開していこうと考えているのか」をアピールしてください。
たとえば、
・どんな点で競合エステサロンよりも優れているのか
・あなたのエステサロンをお客さんに選んでもらうために、どのような工夫をしているのか
あなたが提供するサービスのどのようなポイントが、他のエステサロンと異なるのかについて詳しく説明することが大切です。
取引先・取引関係等
エステサロンの販売先は、サービスを利用するお客様が該当します。「販売先」の項目には「一般個人」と記載しても問題ありません。
「一般個人」と書いた場合、より具体的にサロンがターゲットとしている客層に記載は必要です。
年齢や性別・職業・住んでいる地域など、ターゲットとしているお客様の属性もできるだけ詳しく設定したものを記載すると良いでしょう。
従業員
スタッフを雇う場合には、従業員となる方の人数を記載します。
家族が従業員の1人として働く場合には、従業員数に合計の人数を記載し、家族の人数を下のカッコ内に記載してください。
パートやアルバイトを雇う場合には、従業員数とは別に記載する欄があります。
必ず時給や給料を計算した上で、雇う従業員数を記載していくのがポイントです。人件費の支払いについては、取引先・取引関係等の項目に勤務の〆日と給料の支払い日を書く欄がありますので、合わせて確認して記載します。
お借入の状況
「お借入の状況」の欄には、借入れ先名や使い道・借入残高・年間返済額の4つの記入項目があります。
さらに住宅や車・教育・カード・その他の5つのチェック欄がありますので、使い道に合わせて確認します。エステサロン開業とプライベートでの借入れの両方の借入状況を記載します。
借入れ金額を少なく見せたいからといって、実際とは違う額を記入してはいけません。金融機関側で、後に調査が入り実際とかけ離れていないかを調べられますので、信用を失わないように正しく記載します。
必要な資金と調達方法
エステサロンを開業するために必要な開業資金をどうやって調達するのかについて記入していきます。必要な資金は大きく分けて「設備資金」と「運転資金」の2つがあります。
設備資金
設備資金とは、エステサロンの開業に必要な設備購入に充てる資金のことを指します。
たとえば、以下の設備が該当します。
・エステに使用する機器
・エステサロンの内装・外装
・室内装飾品などの購入
・ベッドや椅子など備品の購入
・水回りの工事費用
・電気・空調設備の工事費用
・看板の設置費用
運転資金
運転資金とは、エステサロンの開業後に経営をしていく上でかかる費用のことをいいます。
運転資金の例は以下の通りです。
・家賃
・光熱費
・人件費
・広告宣伝費
・化粧品などの消耗品購入費用
・スタッフユニフォームやシーツ・タオルのクリーニング代
「調達の方法」の項目では、資金をどうやって調達するかを記入します。自己資金の他に、借入方法ごとに3つの項目が用意されていますので、該当するものを記入してください。
設備資金と運転資金の合計と、調達資金の合計が同じであれば、必要な資金を十分に調達できていることを示せます。
事業の見通し
「事業の見通し」では「創業当初」と「軌道に乗った後」の時期に分けて、事業の見通しを記入します。
右の欄には売上高や仕入高、経費を記入し、利益を割り出した根拠を示します。ポイントはエステサロンの収入から支出を引いて、残った部分が利益です。
収入は売上高に該当しますので、家賃や人件費・必要経費など、サロンの支出にあたる部分を忘れずに書き出せば、それほど悩まずに記載することができます。
またエステサロンを開業するにあたって、融資を受けた場合は利益から返済していかなければなりません。
利益が毎月の返済額を上回るような事業の見通しが立っているかを、改めて確認する必要があります。
エステサロンの事業計画書:まとめ
エステサロンの事業計画書は、金融機関の融資を得る場合はもちろん、融資を受けない場合でも、経営の方向性を明確にするために重要です。
今回は日本政策金融公庫が公表している事業計画書を例に解説しましたが、事業計画書の書き方に決まった形はありません。
本記事を参考に自分で作成したものを提出しても問題ありません。
金融機関が融資の審査を行う上で、事業計画書の完成度がとても重要なポイントとなります。あなたの事業展望をできるだけ具体的、そして現実的に示してみましょう。
事業計画書を作成することで、エステサロン開業に向けたより現実的なイメージが可視化することができます。
事業を成功させるための第一歩として、ぜひ綿密な事業計画書を作成してみてください。