波長と照射レベルの違いとは!?レーザー脱毛器と光脱毛器の違いを解説

波長と照射レベルの違いとは!?レーザー脱毛器と光脱毛器の違いを解説

光の波長の違いは照射レベルに影響を与えます。レーザー脱毛と光脱毛の違いを仕組みから理解することで顧客に対して正しい案内ができるようになります。本記事は、なぜ光が毛を失くす動きをするのか、レーザー脱毛はなぜ永久脱毛を可能にするのか、理解できるようになります。最後まで読んで日々の営業活動に活かしてみてください。

光脱毛の波長とは?

光脱毛の波長とは、波形で空間を伝わる光などの波動において、山・谷のように隣り合う同じ位相の間の距離のことを指します。波長はナノメートルという単位で表され、光脱毛の種類によって波長の大きさが異なります。

レーザーにおける波長が短いと皮膚の深層まで届きます。逆に波長が長いと痛みが少なく柔らかなエネルギーとなります。

まずは以下の2点について詳しく解説していきます。

・光エネルギーから熱エネルギーへと変化する模様について
・光脱毛と光線について

光エネルギーから熱エネルギーへ

そもそも、熱は何もないところから発生しません。光が熱に変換されるのが自然界の仕組みです。

光エネルギーは、物体に当たると熱エネルギーへと変化します。光脱毛とは、光エネルギーが熱エネルギーに変わることを利用した施術方法です。そのため脱毛のレーザーは脱毛機から光を当てているにも関わらず、熱く感じるのです。

専門的な話になりますが、物体には光を吸収する「発色団」という色の原因となる分子が含まれています。発色団が物体に当たることで、人が色を認識できるようになるのです。

光脱毛と光線

光脱毛ではこの特性を利用して、熱エネルギーへと変換された光を毛母細胞に当てて破壊します。

たとえば黒に反応する光レーザーの場合、皮膚全体を熱くするというよりも毛根の黒い部分(メラニン色素)に反応してエネルギーが集まる形になります。何度も熱エネルギーを当てることで再び毛が生えないように元から破壊することができます。

波長が短くエネルギーの強いレーザーでは短時間で効果を発揮させることができ、波長が長いレーザーであれば皮膚に当たったときのインパクトは柔らかいですが、深層まで破壊するのに時間がかかる傾向です。

エステサロンで使用している光脱毛とは

脱毛レーザーには2種類あり、医療機関で提供している医療脱毛とエステサロンで使用している光脱毛があります。光脱毛は、医療行為ではないため無資格のスタッフであっても手順を把握していれば施術することができます。

光脱毛は大きく3種類存在しており、IPL・SSC・SHR脱毛があります。それぞれの特徴や効果の違いは以下の表にまとめています。

種類

特徴

効果

IPL脱毛

メラニン色素に対して光を照射する脱毛方法

多少痛みがある。即効性は最も感じられる

SSC脱毛

ジェルと光を組み合わせて脱毛する方法

痛み・肌への刺激は少ない。即効性は薄い

SHR脱毛

蓄熱式脱毛とも呼ばれ、毛包全体に対して、弱い熱をあてる方法

痛み・肌への刺激は少ない。即効性は薄い

レーザー脱毛との仕組みと種類の違い

医療レーザー脱毛との違いは、波長とそれに伴う効果の違いです。一般的に医療レーザー脱毛は医療資格を持っているスタッフしか施術できず「永久脱毛」などと呼ばれたりします。

主に755nmから1064nmの波長が短いレーザーを当てることで光脱毛よりも高い熱エネルギーを毛母細胞にあて破壊することが可能です。3種類あるレーザー脱毛の波長や特徴の違いは以下の通りです。

レーザーの種類

アレキサンドライトレーザー

ダイオードレーザー

ヤグレーザー

波長

755nm

800〜940nm

1064nm

脱毛方式

熱波壊式

熱波壊式・蓄熱式

熱波壊式

痛み

強い

弱い

最も強い

毛質

濃くて太い毛が得意

産毛の脱毛の可能

濃い毛や剛毛が得意

肌質

日焼け肌は照射不可

日焼け肌・敏感肌にも照射可能

日焼け肌にも照射可能

特徴

メラニン色素に反応しやすい

2種類の脱毛方式を切り替えられる

根深い毛にも対応できる

そもそも「光」とは?

「光」とはそもそも何なのか説明していきます。光には広義と狭義の2つの意味があり、講義では波長が集まった電磁波のことを指し、狭義では電磁波のなかの可視光線を指します。

たとえば良く晴れた日に部屋に差し込む光を無色(限りなく白に近い)のものとして認識したりします。

人が認識できる光の波長は範囲が決まっています。具体的には380〜780ナノメートルの範囲で、この範囲内の光を「可視光線」と呼びます。

可視光線とは

可視光線は前述で説明したように人の目で認識できる光の範囲です。具体的には「紫・藍・青・緑・黄・橙・赤」の7色で構成されています。波長によって、以下の通り、色が認識されるのです。

水色

黄色

波長

380〜430nm

430〜460nm

460〜500nm

500〜570nm

570〜590nm

590〜610nm

610〜780nm

概念的な話ですが、色によって波長が決まるのではなく「波長の中で色が認識される」とイメージしてみてください。

ちなみに光脱毛で使われる光は可視光線で、目に見えない赤外線などと比較すると低いエネルギーのものとなります。波長が長いので身体への負担が少なく、安全に脱毛施術を受けられる光です。

人の目に見えない波長のものも存在する?

可視光線は目に見える光ですが、目に見えない光もあります。それは放射線や赤外線を代表とする波長が短い光のことです。太陽の光から発される紫外線も同じで「不可視光線」と呼ばれます。

X線

紫外線

可視光線

赤外線

電波

波長

1nm

1nm~

380nm

380nm~

780nm

780~

100μm

100μm

波長が短くなればなるほど、身体への影響が強くなります。X線のような放射線を浴び続けると体に被害がでるように 物質を貫く強いエネルギーになればなるほど扱いに注意が必要です。

また紫外線をイメージすると分かりやすいかもしれませんが、強いエネルギーは熱を帯びています。一瞬では分からないかもしれませんが、熱エネルギーに変換された光は、波長が短ければ短いほど鋭く強くなります。

レーザー脱毛の「レーザー」とは

レーザー脱毛における「レーザー」についても考えてみましょう。レーザーの仕組みを次の観点で詳しく解説します。

・単一の波長だけを取り出し増幅したもの
・単一波長の意義
・正しい放射によって強いエネルギーになる

単一の波長だけを取り出し増幅したもの

レーザーは、「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation」の頭文字をとった名称です。翻訳すると「光の誘導放出による増幅器」となります。つまり「単一の波長のみを取り出して増幅させた光」ということです。

光は四方八方に広がる特性を持ちますが、レーザーはほぼ広がることなくまっすぐ発される、収束性に優れた光のことです。さらに、光の波長はほぼ単一で、単一波長の電磁波を発生させる装置がレーザー装置と呼ばれています。

単一波長の意義とは

レーザーとはまっすぐに進む光だと説明しましたが、単一の波長を取り出して増幅したものを指しています。特定の対象へ高い吸収力を発揮したり、規則正しく屈折する特性をもったりするようになります。

単一の波長を取り出して増幅させるとその分エネルギーが1点に集中し、金属を切断したりモノを焼いたりする強い力が生まれるのです。また、レーザーは単色なので1つの色でできています。

たとえば脱毛施術の場合、黒いメラニン色素に反応するようなレーザーを使用するため、力が1点に集中し、それ以外の皮膚を傷つけることなく毛母細胞のみを破壊することができます。逆に、白髪のようにメラニン色素が抜けている毛には反応しないのはそのためです。

正しい放射によって強いエネルギーになる

自然界における光は、四方八方に発するためエネルギーが拡散されていますが、レーザーによる光は収束性が強いために位相も規則正しくなり、重なれば重なるほどに強いエネルギーが生まれます。

脱毛においてもレーザーのパワーレベルをコントロールすることができます。顧客が「痛い」と感じたらレベルを下げて痛みを感じにくくさせます。それはレーザーの収束性を弱めてパワーダウンさせるために起こる現象です。逆に、レーザーを重ねていくほどにエネルギーが強くなっていくため、痛みを伴ったり、効果が出やすくなったりするのです。

IPL脱毛の光とはどういうもの

エステサロンなどで取り入れられている光脱毛の1種である「IPL脱毛」の光について説明します。

・IPL脱毛は様々な波長の組み合わせ
・幅のある波長は万能性ではない
・エステサロンでは永久脱毛ができない

IPL脱毛は様々な波長の組み合わせ

IPLとは「インテンス・パルス・ライト」のことです。脱毛に使用される光の種類のことで、もっともポピュラーに使用されています。メラニン色素に反応して細胞を破壊する仕組みになっていて、わきやVIOなどの濃くて太い毛にも有効です。

IPLはさまざまな波長が組み合わさって構成されており、500nm〜1200nmの光を発しています。医療脱毛に使われるレーザーよりも出力が弱いもので、施術も短時間で完了します。

ただし、メラニン色素に効果的に吸収される波長の光を単一で照射しているわけではありません。あくまでもいろいろな波長が組み合わさってできた光の照射となります。

幅のある波長は万能性ではない

医療脱毛におけるレーザーは、1点を集中的にアタックできると説明しましたが、エステサロンで受けられる光脱毛は、波長の異なる光を同時に照射することで「拡散性」があるために、エネルギーの強さがレーザーにはかないません。

たとえば室内を照らす電気は、拡散性があるからこそ電球の下だけではなく室内全体を明るくすることができるのです。ある程度の部位を網羅的に照射するのは光の方が向いていますが、その分1点に対するインパクトが弱まるため、万能とはいえません。

光脱毛はレーザーのように一方的に強いエネルギーを発するものではないため、脱毛効果は下がってしまい、何度も施術を受ける必要があり、永久的な脱毛を行うことが難しくなるのです。

エステサロンでは永久脱毛ができない

エステサロンで行う光脱毛は、毛を柔らかくしたり、細くしたり、生えるスピードを遅くしたりする減毛・弱毛効果が高いものになります。しかし永久脱毛と言われるレーザー脱毛の施術は医療技術者のみが許されているため、エステサロンでは施術することができません。

エステサロンで高い出力のレーザーを当てることは法律により禁止されているため、もし永久脱毛を期待する顧客がいる場合は注意が必要です。光脱毛は通うことを辞めてしまうと元に戻ってしまう可能性もあります。

施術金額も期間も異なる脱毛方法になるため、顧客には光とレーザーの特性を踏まえてメリットとデメリットについて紹介することが大切です。

まとめ

本記事では、光の特徴やレーザーとの違いについて解説しました。波長の異なる光には拡散性があり、集中してエネルギーを照射することができるレーザーよりも脱毛効果が低いことが分かります。

 

もし痛みに弱く、安価な脱毛を期待するなら光脱毛を案内すると良いでしょう。しかし、「自己処理をなくしたい」、「ほとんど生えてこない状態を目指したい」と思う方には医療脱毛をすすめる必要があります。

 

施術者は光とレーザーの違いを踏まえて正しく案内できるようにしていきましょう。

このコラムの執筆者

株式会社コンフォートジャパン コラム編集担当
株式会社コンフォートジャパン コラム編集担当
株式会社コンフォートジャパン コラム編集担当
コンフォートジャパンのコラム編集担当です。
美容業界で長く美容機器メーカーとして存続しているコンフォートジャパンが、皆様のお声に応えるべく、脱毛関連はもちろんのこと、サロン運営に役立つ情報を発信していきます。