ダイオードレーザー脱毛のメリット・効果とは?他レーザーとの違いや痛みと副作用について解説
レーザーを使用した医療脱毛は今からおよそ30年前にその効果が発見され、2020年代に至るまで進化を遂げてきました。
現在、医療用レーザー脱毛で使用されるレーザーは複数の種類があります。
- ダイオードレーザー
- アレキサンドライトレーザー
- ヤグレーザー
いずれも医療脱毛用のレーザーのため永久脱毛の効果が得られますが、それぞれに特徴があり得意な毛質(脱毛部位)などには違いがあります。
本記事では「ダイオードレーザー」の仕組みや特徴・他の医療脱毛用レーザーとの違い・メリット・デメリットを解説します。
医療脱毛のダイオードレーザーとは?
ダイオードレーザーとは半導体を媒体とする医療レーザーのひとつです。
医療脱毛で使用されるレーザーとして国内に初めて導入されたのはアレキサンドライトレーザーでしたが、施術に時間がかかる点と照射時に発生する熱で肌が火傷しやすい点が課題でした。
こうした課題をクリアするべく開発されたのが、ダイオードレーザーを使った脱毛機です。
ダイオードレーザーの仕組み|熱破壊式と蓄熱式の違い
ダイオードレーザーの脱毛の仕組みには熱破壊式と蓄熱式という2通りの方法があります。
それぞれどのような違いがあるかを表にまとめました。
| 熱破壊式 | 蓄熱式 |
ターゲット | 毛母細胞(毛根) | バルジ領域(発毛の指令を出す組織) |
照射方式 | メラニンに反応し毛根を破壊 | 低出力レーザーを連続照射 |
メリット | 濃くて太い毛の脱毛に適している 早期に効果を実感しやすい | 産毛にも効果がある 痛みは少ない |
デメリット | 産毛や細い毛には効果が薄い 痛みを感じやすい | 濃い毛・太い毛に効果を発揮しにくい 効果を実感できるまで時間がかかる |
施術に適した方 | 太い毛を脱毛したい方 | 肌への負担を減らしたい方 |
熱破壊式は出力されたレーザーがメラニン色素に反応して発生する熱によって毛根(毛乳頭・毛母細胞)を破壊するもので、仕組みはアレキサンドライトレーザーと同じです。
蓄熱式は低い出力のレーザーを連続的に照射し、じっくり毛包内で熱がこもるようにすることで発毛を促す司令塔の役割を持つバルジ領域にダメージを与え毛を生えなくさせる仕組みです。
出力の強さとターゲットとする組織の違いによって、痛みの感じやすさや脱毛効果を発揮しやすい毛質に差があります。
なお熱破壊式は日焼け肌・色黒肌・色素沈着した肌に照射すると火傷するリスクが高いため、ほとんどの場合施術ができません。
一方の蓄熱式は低出力なレーザーで肌の内部をじわじわと温めながらバルジ領域を刺激するので火傷リスクも少なく、施術可能なことが多いとされています。
ダイオードレーザーとアレキサンドライトレーザー・ヤグレーザーの特徴・痛みの違い
使用する脱毛機材によって若干の変動はありますが、一般的な脱毛機で使用されるダイオードレーザーの波長は800〜940nmの波長が用いられています。
レーザーの波長の長さは3種類の医療脱毛用レーザーのなかでも中間地点にあり、特徴についてもアレキサンドライトレーザー・ヤグレーザーのデメリットをカバーするような内容です。
名称 | ダイオードレーザー | アレキサンドライトレーザー | ヤグレーザー |
レーザーの波長 | 800~940nm ※脱毛機材により変動 | 755nm | 1064nm |
特徴 | 幅広い毛質・肌質に対応している メラニン色素への反応は中間に位置する 産毛にも効果を発揮する | メラニン色素にもっとも強く反応する 美肌効果も期待できる | メラニン色素に反応しにくい 抜けにくい毛や硬毛化した毛の脱毛など部分的に使われやすい |
痛み | ほとんど感じない | 感じやすい | 強い |
色黒肌・日焼け肌への照射 | 可能 | 不可 | 可能 |
代表的な脱毛機種 | メディオスター ラシャ ソプラノアイスプラチナム ライトシェアデュエット | ジェントルレーズ ジェントルマックス | ジェントルヤグプロ スプレンダーX |
ダイオードレーザー脱毛のメリットと効果
医療脱毛界で従来の課題を改善するため生まれたダイオードレーザーですが、そのメリットは3つにまとめることができます。
- 痛みが少なくVIO脱毛との相性が良い
- 日焼け肌・色黒肌など幅広い肌質にも対応
- 蓄熱式の脱毛機が多く選択肢が広い
- うぶ毛(産毛)も脱毛できる
以下でそれぞれ詳しく確認していきましょう。
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痛みが少ないためVIO脱毛と相性が良い
ダイオードレーザーは3種類の脱毛用レーザーのなかでももっとも痛みを感じにくいといわれています。
アレキサンドライトレーザーはメラニン色素への反応が強いことで知られており、ヤグレーザーについても波長が長く高出力で強力なレーザーが照射されるため痛みを感じやすいのがデメリットです。
痛みが少ないレーザー脱毛であるということは、神経や血管が集中し皮膚が薄くなっているVIOなどの脱毛とも相性が良いといえます。
日焼け肌・色黒肌でも脱毛が可能
痛みが少ないことにも関連しますが、ダイオードレーザーは肌への負担が比較的少ない医療脱毛用レーザーです。
特に蓄熱式ダイオードレーザーはその脱毛の仕組み上、メラニン色素に反応して発熱するわけではないため、従来のレーザー脱毛では禁忌だった日焼け肌・色黒肌でもある程度であれば照射が可能です。
その他にもアトピー性皮膚炎の肌や敏感肌でこれまで脱毛に踏み切れなかった方も、レーザー脱毛での施術を受けることができる可能性があります。
もちろん、詳しくはクリニックで肌の状態を実際に医師に確認してもらう必要がありますが、アレキサンドライトレーザーやヤグレーザーでは難しい肌質でも医療脱毛を検討できるのは大きなメリットです。
蓄熱式の照射可能な脱毛機が多いのが特徴
蓄熱式ダイオードレーザーを採用した脱毛器は種類が多く、要望を叶える脱毛機を探すことができます。
たとえば、蓄熱式ダイオードレーザーとして国内でも広く導入されている「メディオスター」シリーズは、痛みを感じにくく幅広い肌状態の方に照射できる蓄熱式脱毛の王道のような脱毛機です。
大手の脱毛クリニックでも導入されている蓄熱式脱毛機「ソプラノ」シリーズは、ダイオードレーザーだけでなくアレキサンドライトレーザー・ヤグレーザーを含む3種類の波長を使用しており毛の太さや濃さにかかわらず効果が期待できるとされています。
同じレーザーを使用していたとしても、使用する機械によって若干の特徴の差があるため、「痛みの感じやすさ」「効果を実感するスピード」「施術間隔」など好みに合わせた選択の余地が広がります。
うぶ毛の脱毛効果も期待できる
蓄熱式ダイオードレーザーであれば、うぶ毛(産毛)の脱毛効果を期待できます。
レーザーを使用した脱毛の場合、ほとんどが毛根のメラニン色素に反応して熱を発生させることで毛母細胞を破壊する仕組みでした(熱破壊式)。
うぶ毛はメラニン色素が薄く細い毛のため、レーザー照射による発熱が生じにくく脱毛効果も得られにくいとされていました。
蓄熱式ダイオードレーザーは熱破壊式の構造で脱毛するわけではなく、メラニン色素への反応を必要要件としません。
従来の医療レーザー脱毛のデメリットであったうぶ毛や細い毛にも対応できる点は、ダイオードレーザーのメリットのひとつです。
ダイオードレーザー脱毛のデメリット
従来のレーザー脱毛のデメリットを補完するように誕生したダイオードレーザーですが、デメリットもあります。
- 脱毛効率の良さの面ではアレキサンドライトレーザーに劣る
- メラニンの多い肌・毛根の深い毛にはヤグレーザーに効果が劣る
アレキサンドライトレーザー・ヤグレーザーの得意とする領域と比較すると、どうしても強みが見えにくくなります。
脱毛効率では劣ってしまう
ダイオードレーザーは痛みが少なく、肌に負担がかかりにくいレーザー脱毛です。
特に蓄熱式ダイオードレーザーの場合、肌の内部に熱を内包させてじっくりとバルジ領域を攻撃するため効果の現れかたも他のレーザー脱毛と比べると遅いといわれています。
そのため「効率的に脱毛したい」と考える方にとっては、もどかしく感じる可能性もあります。
アレキサンドライトレーザーであればメラニンの吸収率が高いので効率的な脱毛が可能です。
痛みの感じやすさや対応できる肌質に制限はありますが、効率性のみを考えるとアレキサンドライトレーザーがダイオードレーザーに勝ります。
メラニンの多い肌や毛根の深い毛には劣ってしまう
メラニン色素を多く含む肌(色素沈着した肌など)や男性のヒゲなど毛根が深い毛の脱毛は、ダイオードレーザーよりもヤグレーザーが適しています。
ヤグレーザーは脱毛用レーザーのなかでもっとも波長が長いレーザーで、肌の深い部分(皮下組織)まで届く高い深達性を持っています。
当然ながら、脱毛したい部位の発毛組織がレーザーの届く範囲になければ十分な脱毛効果は得られません。
ダイオードレーザーはアレキサンドライトレーザーと比べると深達性は高いですが、ヤグレーザーの深達性の深さには劣ります。
全身脱毛を検討しており、ダイオードレーザーだけではカバーしきれないような毛根が深いムダ毛も「もれなく脱毛したい」という場合は、複数のレーザーが採用されている脱毛機を使用して施術を受けるか部分的に脱毛機を使い分けてくれる脱毛クリニックを探すことをおすすめします。
ダイオードレーザーの副作用は赤みや色素沈着がある
もっとも肌に優しいレーザー脱毛といえるダイオードレーザーですが、副作用もあります。
- 患部の赤み
- 水疱
- 色素沈着
他のレーザー脱毛と重複する副作用ばかりで、その症状が強く出ることは比較的少ないです。
特に照射後の脱毛部位の赤みは時間の経過とともに治まりやすく、水疱や色素沈着が発生するようなこともほとんどないといわれています。
また脱毛クリニックには医師が常駐しており、上記のような副作用で肌トラブルが発生した際も処方箋を出してもらうことができます。
気になる症状がある場合は遠慮せずクリニックに相談しましょう。
ダイオードレーザー脱毛が向いている人の特徴
どのような特徴を持つ人がダイオードレーザーによる脱毛が適しているのかをまとめました。
- 「痛みに弱い」「医療脱毛による痛みが不安」という方
- 肌質に悩みがある方(軽度の日焼け・色黒肌・希望部位の色素沈着がある・敏感肌など)
- VIOのような濃い毛と顔や背中などのうぶ毛を同時に脱毛したい方
- さまざまな脱毛機の特徴や強みを比較して熟考しながら選びたい方
ダイオードレーザーを使用した脱毛は他のレーザー脱毛に比べるとバランスが良く、主だった欠点もないため利用しやすい医療脱毛の種類といえます。
他のレーザーをあわせた複数の波長を同時照射できる脱毛機も広くクリニックで使用されているため、何気なく選んだ脱毛機や脱毛コースのプランでもダイオードレーザーを使った施術が受けられることもありそうです。
ダイオードレーザー脱毛の回数・期間の目安はどのぐらい?
ダイオードレーザーによる脱毛にかかる施術回数は、およそ5〜10回程度です。
他のレーザー脱毛と同様に即効性が期待できるわけではなく、平均的な所用期間は1年半程度です。
1度のレーザー照射で対応できる毛は全体の15〜20%前後ですので、脱毛したい部位のすべての範囲で100%近くレーザー照射するには少なくとも5回は要することになります。
毛の量や毛根の深さなど個人差も大きく、脱毛効果を感じられる度合いも人によって差があるため5〜10回と幅の広い目安になっています。
蓄熱式ダイオードレーザーの場合はバルジ領域を照射のターゲットにしている関係で毛周期にかかわらず通院できますが、効果を実感するまでにかかる回数が熱破壊式に比べ若干多くなる傾向があります。
そのため結果的には熱破壊式とさほど差がない期間で脱毛効果を実感することもあります。
まとめ
ダイオードレーザーは肌に優しく、幅広い肌質・毛質に対応できることが特徴の医療脱毛用レーザーです。
「医療脱毛=痛い」というイメージが多くの方に広まっているなか、ダイオードレーザーによる脱毛は効果・効率よりも肌への負担や痛みを考慮して脱毛サロンでの光脱毛を考えていた方にとって選択の幅が広がることになります。
最近では複数の波長をもつレーザーを同時に照射できる脱毛機を導入している脱毛クリニックも増え、ダイオードレーザーの弱点をカバーした施術が可能になってきました。
ダイオードレーザーのメリットや特徴を正しく理解し、効果を得やすい部位を選びながら効率よく脱毛していきましょう。