脱毛前にジェルの塗布は必要?ジェルが不要な脱毛機や冷却装置について紹介
脱毛といえば透明なジェルを塗った上から機械をあてるイメージがありますが、ジェルは脱毛に必要なのでしょうか。
結論から言えば、多くの場合で脱毛において「ジェルの塗布はあったほうが良い」といわれています。
使用は必須ではありませんが、一部の脱毛方式ではジェルを塗布しなければ十分な脱毛効果を期待できないこともあります。
また「脱毛に使用するジェルにはどのような役割があるのか」「ジェルを選ぶ際には何を基準にしたら良いのか」など、脱毛とジェルについて正しく理解することは非常に重要です。
本コラムでは脱毛にあたりジェルの塗布が必要とされる理由や塗布することでのメリット・デメリットを解説します。
脱毛前にジェルの塗布が必要な理由
脱毛の施術前にジェルを塗布するのは、肌を保護し照射による肌への負担を減らすことが目的です。
脱毛は脱毛機を使用してお客様の肌に直接光を照射しますが、この光の照射によって肌はダメージを受けます。
場合によってはヤケド・乾燥によるかゆみ・黒ずみや赤みなどの肌トラブルにつながることもあり、そうしたリスクをおさえるためにもジェルの塗布が必要です。
肌の保護のため
光脱毛は脱毛機が出力する可視光線を肌の内部にあるメラニン色素に反応させ、そこから発生した熱を利用して発毛組織を刺激する仕組みです。
この発熱によってお客様は痛みを感じたり、場合によっては過剰にメラニン色素が反応しヤケドを負ってしまう可能性もあります。
業務用脱毛機は脱毛サロンで使用されるものであっても出力エネルギーが大きく、連続した使用が可能であることから家庭用脱毛機と比べると肌トラブルのリスクを伴います。
お客様の肌に直接触れる脱毛機ですので基本的には十分安全に配慮して製造されていますが、絶対に肌トラブルを引き起こさないという保証はありません。
また痛みの感じ方には個人差も大きく、毛質や体質によって刺激を強く感じやすい場合もあります。
脱毛ジェルは施術の前に照射部位に塗布することでこの発熱による痛みや肌への負担を軽減する役割を担っています。
脱毛ジェルの主成分
脱毛ジェルの多くは水が主成分で、そこにゲル化剤を混ぜて製造されています。
肌の保護が目的なので危険な成分が含まれていることは基本的にはないのですが、防腐剤やアルコールが微量に含まれることはあります。
脱毛の施術は肌の乾燥を引き起こすため、施術による乾燥に配慮した保湿成分やヒアルロン酸・加水分解コラーゲンなどの美容成分が配合されています。
使用する脱毛機によって適したジェル・適さないジェルがある場合もありますので、脱毛機の取り扱い販売元・メーカーに問い合わせることをおすすめします。サロンの施術スタッフや責任者はジェルに含まれる成分の内容を正しく理解しておくことが大切です。
お客様によっては一部の成分にアレルギーを持っている場合もありますので、施術前にお客様とジェルの相性も確認しましょう。
脱毛ジェルを使用するメリット
脱毛ジェルは肌への施術ダメージを軽減する目的がありますが、それ以外にもジェルを使用することで施術上のメリットがあります。
ここでは脱毛ジェルを使用するメリットについて紹介します。
脱毛効果の向上
脱毛ジェルを使用することで脱毛効果を向上させることができます。
脱毛において肌の乾燥は、効果を低減させる最大の要因とされています。
乾燥した肌は健康な肌状態ではないため、脱毛で使用する可視光線が肌内部に到達できず発毛組織にダメージを与えることができません。
肌の乾燥とは、皮脂分泌量の低下・角質細胞間にある脂質の減少などによって角質の水分含有量が低下している状態のことを指します。
乾燥状態にある肌は「肌のバリア機能」が低下しており、紫外線や入浴などの日常的な刺激でも肌トラブルを引き起こしやすくなってしまいます。
そもそも脱毛とは、脱毛機から肌に光を照射して肌の内部に発生した熱で発毛組織を刺激する仕組みです。
この熱によって施術後の肌は非常に乾燥し、脱毛後は軽いヤケドに近い状態になるともいわれています。脱毛ジェルを塗布することで肌を保湿しキメを整えることができるため、結果として乾燥を防ぎ脱毛効果をアップさせることにつながります。
潤滑剤
近年は全身脱毛を希望されるお客様も非常に多いです。
使用する脱毛機器にもよりますが、連射式でも一般的に全身施術には1人あたりの所要時間がおよそ1時間かかるといわれています。
施術時は肌の上でハンドピースを滑らせながら照射をしていきますが、この時脱毛ジェルを塗布しておけばジェルが潤滑剤となり施術の効率を高める効果があります。
滑らかに照射できるためスタッフはその都度ハンドピースを離して肌に接する手間がありません。
施術効率が上がり1人あたりの施術時間が短縮されればサロンの回転率を上げることにもつながり、結果的に売り上げの向上につなげられます。
またジェルを使用してハンドピースを滑らせることで肌の摩擦を最小限に抑えることもでき、肌にかかる負担も減らすことも可能です。
脱毛ジェルを使用するデメリットは
脱毛ジェルには脱毛効果を高めるほか、施術時の潤滑剤としてのメリットがあることを説明しました。
では一方で脱毛ジェルを使用することでどのようなデメリットがあるのでしょうか。
ここでは脱毛ジェルのデメリットを解説します。
ランニングコストがかかる
脱毛ジェルは消耗品ですので、施術のたびに使用することでサロン経営においては無視できないランニングコストになりえます。
日本の脱毛市場では全身脱毛を希望されるお客様も多いため、1人あたりにかかるジェルも相当の量が必要になります。
一般的な脱毛ジェルの価格は安いもので1kgあたり500円前後ですが、保湿・美容成分など多機能なものであれば1,500円にも及びます。しかし単にコストを下げるために低価格なものを選べば良いというわけではありません。
安価でも伸びが悪ければ、同じ量でも広い面積に塗布できず結果的にコストがかかってしまうことがあります。
少量でも広範囲に使用できるよう、伸びが良く使いやすいテクスチャーの脱毛ジェルを選ぶことがおすすめです。
作業効率が下がる
脱毛ジェルには潤滑剤の役割を果たし施術効率を高められるメリットがあるとお伝えしましたが、不慣れなスタッフの場合はジェルの塗布に時間を要してしまい作業効率が下がることもあります。
脱毛ジェルは塗布・照射のあと、残っているジェルを拭き取る作業があります。
ムラなく均一にジェルを塗布し、手早くジェルを拭き取ることができるまでにはスムーズな施術のためのテクニック習得が必要です。
スタッフの作業効率の違いによっては、お客様からサロンに対する不満や不信感につながりますし、作業効率が低い店舗はベッドの回転率も落ちるため売上の減少にも影響を及ぼします。
全てのスタッフが効率よく作業・施術できるよう、脱毛機の取り扱いメーカーや販売元にデモ講習を依頼したりサロン内でもトレーニングをおこなうことをおすすめします。
関連記事:業務用脱毛機を選ぶ際に比較すべきポイントと購入前に知るべき注意点
脱毛ジェル使用と不使用の違い
多くの脱毛サロンでは痛みの軽減や肌の保護・保湿を理由に脱毛ジェルを利用していますが、実際にジェルを使用している場合と使用しなかった場合でどのような違いがあるのでしょうか。
脱毛ジェルを使用しなかったからといって、必ずしもサロンの店舗運営に支障があるわけではありません。
実はサロン脱毛でも脱毛ジェルを使用しなくても良いケースがあります。
本記事ではジェル不要のサロンの特徴と、多くのサロンでジェルを使用している背景について説明します。
ジェル不要のサロンの特徴
ここまで脱毛ジェルの必要性や効果を説明してきましたが、ジェルが不要なサロンも存在します。
ジェルが不要なサロンかどうかは「脱毛方式」と「冷却装置の有無」に違いがあります。
脱毛方式
業務用脱毛機で採用されている脱毛方式にはいくつかの種類があります。
なかには専用の脱毛ジェルが必須な脱毛方式もあり、特にSSC脱毛はジェルを使用することを前提に開発された脱毛方式です。
光脱毛のなかでもっとも歴史が長いのはIPL脱毛という脱毛方式ですが、当時開発されたばかりのIPL脱毛で使用する光は日本人の肌にはダメージが強く、ヤケドなどの肌トラブルが発生しやすいことが大きなデメリットでした。
このデメリットを解消するために開発されたのが、脱毛用のジェルを塗布してから光を照射することで肌への負担を最小限に抑えるSSC脱毛です。
SSC脱毛で使用されるジェルには、抑毛効果を持つフィリニーブという成分が配合されています。
脱毛機から出力されるクリプトンライトによってジェルの成分が毛穴から浸透する仕組みをとっているので、痛みを感じることもなく肌に優しい脱毛がおこなえます。
そのためSSC脱毛専用のジェルを使用しなければ、脱毛効果は得られません。
サロンで使用する脱毛機が採用している脱毛方式とジェルの必要性については事前によく確認することが必要です。
冷却機能
脱毛ジェルは照射時の発熱による痛みやヤケドなどの肌トラブルのリスクから肌を保護することが目的ですが、脱毛機自体に冷却機能が備わっているマシンはジェル塗布不要を謳っているものもあります。
ジェル不要の脱毛機は照射と同時に施術部位を冷却してくれるので、痛みも感じにくくヤケドの発生リスクも低くなるメリットがあります。
またジェルを塗布して拭き取る手間がなくなるため、施術時間の短縮にもなります。
さらにジェルが不要であれば消耗品としてのジェルを毎度購入する必要がなくなり、ランニングコストを節約することができます。
とはいえ冷却装置を採用しているマシンすべてがジェル塗布不要というわけではありませんので、導入前にジェルの要否はメーカーや販売元への確認を忘れずにおこないましょう。
ジェル使用のサロンの特徴
ジェルが不要な脱毛サロンの特徴には「SSC脱毛以外の脱毛方式を採用している」「冷却機能が備わった脱毛機を導入している」という特徴があります。
しかし実際は多くの脱毛サロンでは脱毛ジェルを使用していることがほとんどです。
その理由としては、以下のような点が考えられます。
- ジェルを使用することで肌を保護し肌トラブルを防ぐことができる
- 「痛みを感じにくい」「ヤケドなどのリスクが少ない」などの安心感をお客様に与えることができる
- 美容成分を含んだジェルを使用していれば脱毛以外の効果も期待できる
脱毛ジェルの使用には肌を保護し施術時の肌トラブル発生を防ぐ目的がありますので、安全面に配慮したサロンとしてお客様に安心感を与えることにもつながります。
またジェルにヒアルロン酸などの美容成分が含まれていれば、保湿以外の美容効果をアピールすることもできます。
ジェルの使用によってランニングコストはかかりますが、本来の脱毛ジェル利用の必要性以外にもお客様からの信頼やイメージアップの効果も期待できることからジェルを使用しているサロンが多いといえます。
脱毛ジェルを選ぶ際に確認する3つのポイント
脱毛用のジェルはさまざまなメーカーが販売しており、その価格・内容とも非常に多様です。
脱毛サロンを経営する上で脱毛サロンはランニングコストのひとつであるため、「できる限り安く仕入れたい」と考えて純正品以外を検討する機会もあるかもしれません。
もちろん価格も重要ですが、脱毛ジェルを選ぶ際には本来のジェル使用の目的が果たせるものかどうかを見極めることも重要です。
ここでは脱毛ジェルを選ぶ際の確認ポイントを紹介します。
成分を確認
まず脱毛ジェルに配合されている成分を確認しましょう。
主成分は水であることがほとんどですが加えて保湿成分が十分に含まれていると、脱毛によるダメージとそれによって引き起こされる乾燥を最小限におさえる効果があります。
また、脱毛ジェルには防腐剤としてアルコール成分が含まれている場合があります。
お客様のなかにはアルコールで肌がかぶれてしまう敏感な肌質である方もいらっしゃいますので、必要以上に多量もしくは高濃度のアルコール成分が含まれていないジェルを選ぶことをおすすめします。
透明度を確認
脱毛ジェルは一般的に透明度の高いものが優れていると考えられています。
これは脱毛機から肌へ光を照射する際、透明度が低いジェルでは光が屈折して浸透しにくくなってしまうためです。
脱毛効果を高めるためのジェル塗布が本来の目的を果たさなくなってしまうため、ジェルは白濁したものではなくできる限り透き通った透明度の高いものを選ぶことが重要です。
水以外の成分を多く含んだジェルは美肌成分や保湿成分が豊富である可能性もありますが、脱毛効果を高めることには不向きといえます。
白っぽく濁ったジェルは肌の状態や毛の流れなど施術部位を確認しにくくなってしまうため、透明度の低いジェルを使用することは避ける必要があります。
硬度を確認
ジェルの硬さ(手触り・テクスチャー)も選ぶ際の重要なポイントです。
柔らかすぎるジェルは肌なじみや伸びは良いのですが、水っぽくあまり施術時の肌の保護には役立たないこともあります。
また硬すぎる手触りでは肌の密着度は高い一方で、ベタつきやすく拭き取りが大変であったりすぐに乾きやすいといったデメリットもあります。
ほどよく硬さのあるジェルは肌に密着し伸びも良いので、実際に候補のジェルの手触りを比べて可能な限り純正品に近い素材のものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
脱毛ジェルは施術時に発生する熱から肌を守り、痛みを軽減したり肌トラブルの発生リスクをおさえたりする役割を果たしています。
また保湿成分を含むジェルを使用すれば脱毛後の乾燥しやすい肌状態を保護する機能もあり、お客様が脱毛を受ける際の安心材料にもなっています。
導入している脱毛機がSSC脱毛採用の脱毛機でなければジェルの使用は必須ではありませんが、多くの脱毛サロンでは脱毛ジェルを使用して施術をしています。
脱毛ジェル本来の効果のほか、お客様にとって安心・安全に施術を受けられる環境づくりという意味では脱毛ジェルは必要経費といえます。