医療レーザー脱毛機器とは?特徴や種類について解説

医療レーザー脱毛は、脱毛クリニックや皮膚科などの医療機関でしか受けられない脱毛方法です。
施術も医師や看護師など医療資格を有する人しかできないため、医療行為として発毛組織を破壊することができます。
発毛組織を破壊するので毛が生えてこなくなるので「永久脱毛」ができます。
エステや脱毛サロンでの光脱毛は発毛組織を破壊することができないため、医療レーザー脱毛は永久脱毛ができるというところが大きな特徴です。
医療レーザー脱毛でも脱毛方法やレーザーの種類、脱毛機器には種類があるため、目的や部位によって適した脱毛機器は異なります。
本記事では医療レーザー脱毛機器の種類や違いについて解説していきます。
医療レーザー脱毛機器の仕組み
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医療レーザー脱毛機器で脱毛をする仕組みは、レーザーが毛の黒いメラニン色素に反応し、発毛組織を破壊して発毛を止めます。
高出力のレーザーを照射することで、毛に含まれるメラニンがレーザーに反応して熱を発生し毛を生やす元から伝えます。
伝わった熱によって発毛組織が破壊され、毛が作り出せなくなり生えてこなくなるのです。
光脱毛が様々な種類の波長を含んだ光を広範囲に照射するのに対し、医療レーザー脱毛は1種類の波長のレーザーで狭い範囲を照射します。
レーザーの強力なパワーで毛を作り出す元を破壊できるため、医療レーザー脱毛なら永久脱毛が可能です。
レーザーには3種類あり、それぞれ波長の長さや得意としている毛質が違います。
- アレキサンドライトレーザー
- ダイオードレーザー
- YAGレーザー
レーザーの種類と特徴を見ていきましょう。
アレキサンドライトレーザー
「アレキサンドライトレーザー」は、3種類のレーザーの中でも一番波長が短く、毛の黒いメラニンへの反応に優れています。
日本人の毛質や肌質に合うレーザーといわれており、メラニンに反応するため、シミやそばかすなど美容医療でも使われているレーザーです。
美肌ケアは副次的な効果ではありますが、顔脱毛をすると産毛がなくなる上にシミやそばかすが薄くなるなど、美肌効果も期待できます。
また、二の腕によくできる毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)というブツブツの治療にも使われているので、アレキサンドライトレーザーで肌質が改善されたという症例もあります。
メラニンへの反応に優れているということは、太くて濃い毛ほど反応しやすいため、脇毛・VIO・男性の濃いヒゲなどの毛質が得意です。
ただし、メラニンの少ない細い毛や産毛は反応しにくく、日焼け肌や地黒肌はヤケドのリスクがあるため照射できません。
剛毛で濃い毛をしっかり処理したい人や美肌効果も期待したい人に向いています。
ダイオードレーザー
「ダイオードレーザー」は3種類のレーザーの中でも波長は中間地にあり、脱毛効果のバランスに優れているため、あらゆる毛質に対応できるレーザーです。
アレキサンドライトレーザーが苦手な産毛や日焼け肌、地黒肌にも照射でき、YAGレーザーのような強い痛みもなく剛毛にアプローチできます。
ダイオードレーザーにはメラニン色素に作用する「熱破壊式」と、毛を作る指令を出す部分のバルジ領域に作用する「蓄熱式」の2種類あります。
蓄熱式は皮膚の浅い部分に照射するため痛みが少なく、肌へのダメージも抑えられるのが特徴です。
熱破壊式とは違い、ほくろのある部分も照射できるので、「毛質や肌質」「肌の色」を選ばずに照射できる万能なレーザーです。
産毛をしっかり処理したい人や、痛みが苦手な人に向いています。
YAGレーザー
「YAGレーザー」は3種類のレーザーの中では一番波長が長いため、毛根の深い毛にアプローチできます。
男性の濃いヒゲや、VIOなどのしっかりした毛を得意としているレーザーです。
メラニンの影響を受けにくく高出力で照射できるため、日焼け肌や地黒肌・産毛も対応でき、脱毛よって毛が硬くなる硬毛化の治療にも使われています。
しかし、YAGレーザーは照射範囲が狭いため、メインで使われることは少ないです。
高出力で照射できる分痛みを強く感じやすいため全身脱毛には向かないので、アレキサンドライトレーザーやダイオードレーザーと併用されたり、部分的に使われることが多いです。
剛毛な人や日焼け肌、地黒肌の人に向いています。
アレキサンドライトレーザーとダイオードレーザーとYAGレーザーの違い
3種類のレーザーの波長や得意としている毛質について比較します。
アレキサンドライトレーザー | ダイオードレーザー | YAGレーザー | |
波長 | 755nm | 800nm | 1064nm |
剛毛 | かなり得意 | 得意 | かなり得意 |
産毛 | いまいち | かなり得意 | 得意 |
肌質 | 普通肌 | 日焼け肌・地黒 | 日焼け肌・地黒 |
痛み | 普通 | 弱い | 強い |
美肌効果 | あり | なし | なし |
脱毛したい部位や毛質によって選ぶレーザーの種類が違ってきます。
毛質や肌質に合っていない脱毛機器で脱毛をし続けると、効果を実感できるまでに期間がかかったり、硬毛化や増毛化など肌トラブルなどが起こる可能性もあります。
そのため、効率的に通って脱毛効果を得るためには、自分に合うレーザーの種類を見極めることが重要です。
医療レーザー脱毛機器は蓄熱式と熱破壊式の2種類
医療レーザー脱毛機器には、「蓄熱式」と「熱破壊式」の2種類の脱毛方法があります。
照射方法やターゲットとなる発毛組織が異なるため、脱毛効果にも違いが生じます。
2つの脱毛方法の違いについて詳しく見ていきましょう。
蓄熱式
「蓄熱式」はSHR式とも呼ばれており、メラニン色素に反応する熱破壊式とはターゲットが異なります。
低出力のレーザーを連続照射し、熱を蓄積することで発毛組織にダメージを与える脱毛方法です。
毛を包む毛包全体にジワジワ熱を与え、毛を生やす司令塔であるバルジ領域を破壊させ、発毛を止めることができます。
バルジ領域は皮膚の浅い部分にあるため、高温で照射する必要がありません。
痛みが少なく肌へのダメージが抑えられるのが特徴です。
肌表面に出ていない毛にも脱毛効果があります。
毛周期に関係なく照射できる特徴があり、短い期間で脱毛を完了させることができます。
日焼け肌や地黒肌など肌質を問わず照射できるのもメリットです。ヤケドのリスクを理由に熱破壊式での照射を断られてしまった人でも対応できます。
高速連射で肌をなでるように照射するため照射ムラが起こることが少なく、施術時間も短く終わります。
熱破壊式
「熱破壊式」はHR式やショット式とも呼ばれており、高出力のレーザーを単発で照射し、毛を作り出す毛乳頭や毛母細胞の発毛組織を破壊する脱毛方法です。
毛が肌表面に出てメラニンがしっかりある成長期の毛にしか脱毛効果はないため、毛周期に合わせて2~3ヶ月の間隔で照射する必要があります。
メラニン色素に反応するので太くて濃い毛や剛毛を得意としており、密集しているヒゲや脇毛、VIOに効果を発揮します。
照射から1~2週間すると毛がポロポロ抜け落ちるポップアップ現象が起こるため、脱毛効果を実感しやすいです。
ただ、高出力で照射するため痛みを感じやすいというデメリットがあります。
照射時に輪ゴムでバチッと弾かれるような感覚があるため、痛みが苦手な人は冷却機能が搭載されている脱毛機器にしたり、麻酔が使用できるクリニックを選ぶといいでしょう。
蓄熱式と熱破壊式の違い
蓄熱式と熱破壊式の違いを比べてみましょう。
蓄熱式 | 熱破壊式 | |
脱毛方法 | 低出力で連続照射 | 高出力で単発照射 |
ターゲット | バルジ領域 | 毛乳頭・毛母細胞 |
剛毛 | やや苦手 | かなり得意 |
産毛 | かなり得意 | やや苦手 |
痛み | 弱い | 強い |
肌質 | どんな肌質も対応 | 日焼け肌・地黒肌は不可 |
照射時間 | 早い | 遅い |
通う間隔 | 2~4週間 | 2~3ヶ月 |
脱毛する部位や毛質によって適した脱毛方法は異なるので、どちらがいいとは一概にはいえません。
そのため、脱毛部位によってクリニックを変えたり、複数の脱毛機器を導入しているクリニックを選ぶといいでしょう。
目的別の医療レーザー機器の種類
医療レーザー脱毛機器は、3種類のレーザーと2種類の脱毛方法があります。
脱毛機器によっては1台に2種類以上のレーザーを搭載していたり、蓄熱式と熱破壊式が切り替えられるものもあります。
また、同じレーザーの種類や脱毛方法でも、機器によって痛みを軽減するために冷却機能が搭載されているものや皮膚を吸引しながら照射できるものなど様々です。
毛質や肌質など目的別に合った医療レーザー脱毛機器をご紹介します。
痛いのが苦手な人向け
痛いのが苦手な人には「蓄熱式」の脱毛機器がおすすめです。
低出力のため照射熱が熱破壊式ほど高くはないので、痛みを抑えた脱毛が受けられます。
- メディオスターNeXT PRO
- ソプラノアイス・プラチナム
「メディオスターNeXT PRO」は蓄熱式では代表的な脱毛機器です。照射口の大きさも3種類あって変えられるため、脱毛部位も狭い範囲~広い範囲まで対応しています。
「ソプラノアイス・プラチナム」は3種類のレーザーを搭載しているので、毛質や肌質に合わせたレーザーで照射できるでしょう。
冷却機能を搭載しているので、照射と同時に冷却しながら脱毛することができます。
施術時間を短くしたい人向け
施術時間を少しでも短くしたい方には、照射スピードが早い脱毛機器がおすすめです。
- ソプラノチタニウム
- メディオスターモノリス
「ソプラノチタニウム」は3種類のレーザーを搭載している蓄熱式の脱毛機器です。
下位モデルのソプラノアイスプラチナムより照射スピードが早いため、全身脱毛なら60分で完了します。
「メディオスターモノリス」はメディオスターNeXT PROの後継機種で、照射スピードが大幅に短縮されています。
1発ずつの照射時間が短くなり、蓄熱式と熱破壊式の切り替えが可能です。
剛毛・毛が濃い人向け
剛毛で毛が濃い人はメラニン色素の量が多いため、熱破壊式が向いています。
- ジェントルヤグプロ
- ライトシェアデュエット
「ジェントルヤグプロ」はYAGレーザーで波長が長いため、毛根が深い毛を得意としています。
照射時には冷却ガスを使って冷やすため、痛みを抑えて肌への負担も減らせます。
「ライトシェアデュエット」は2種類のハンドピースがあり、大きい方は吸引して照射することで痛みを軽減できます。
毛が濃くて広い範囲を処理したい人におすすめです。
毛が細い人向け
細い毛や産毛をしっかり処理したい人には、蓄熱式の脱毛機器がおすすめです。
メラニン色素に作用しない脱毛方法なので、メラニン色素の少ない毛も脱毛できます。
- メディオスターNeXT PRO
- ソプラノチタニウム
「メディオスターNeXT PRO」は蓄熱式と熱破壊式と切り替えられるため、毛質に合わせた脱毛方法で脱毛が受けられます。
産毛への効果が高い上に痛みが少なく、肌に負担の少ない脱毛ができるのも特徴です。
「ソプラノチタニウム」も蓄熱式と熱破壊式に切り替えられます。
産毛への効果も高いですが、3種類のレーザーを同時に照射できるため、あらゆる毛質に対応できるオールマイティーな脱毛機器でもあります。
地黒肌・日焼け肌の人向け
地黒肌・日焼け肌の人はヤケドのリスクがあるため、脱毛方法やレーザーの種類が限られているので、脱毛機選びには慎重になるでしょう。
安全に脱毛を受けるには、ダイオードレーザーとYAGレーザーがおすすめです。
- メディオスターNeXT PRO
- ソプラノチタニウム
「メディオスターNeXT PRO」はダイオードレーザーの蓄熱式で、熱破壊式にも切り替えられるため、導入しているクリニックが多いです。
蓄熱式でリスクを抑えた脱毛が受けられます。
「ソプラノチタニウム」は3種類のレーザーを搭載しているので、日焼け肌、色黒肌などあらゆる肌質の脱毛が可能です。
医療レーザー機器を選ぶ際のチェックポイント
医療レーザー脱毛機器を選ぶ際のポイントは、どのような脱毛をしたいのかを明確にすることです。
自分の毛質や肌質、肌の色を知ることで、自分に合う脱毛機器がわかってきます。
脱毛効果はレーザーの種類と脱毛方法で決まります。そのため、脱毛機器選びを間違えると脱毛効果を得られるまでに期間とお金がかかってしまうこともあるので注意が必要です。
さらに、「痛みの少ない脱毛をしたい」「施術時間を短くしたい」などの希望によっても脱毛機器は変わります。
脱毛機器の特徴を知り、自分に合うかよくチェックしてから選びましょう。
値段だけでなく機械の種類もチェックしよう
医療脱毛のクリニック選びでは、脱毛料金やサービス内容、追加費用などに注目してしまいますが、脱毛機器の種類もチェックが必要です。
どの脱毛機器でも脱毛効果がないわけではありませんが、肌質や毛質、脱毛したい部位に合っていない脱毛機器では、無駄に回数や期間がかかってしまいます。
契約した回数では脱毛効果を実感できなかったからといって、追加で回数を契約しても脱毛機器が同じでは、さらに期間と費用がかかります。
想定以上の出費にならないためにも、脱毛料金や追加料金など比較しやすい項目だけでなく、脱毛機器から選ぶことは大切です。
自分に合う脱毛方法や脱毛機器の種類がわかったら、その情報を元にクリニック選びをすることで、より高い脱毛効果が期待できます。
クリニックによっては複数の脱毛機器を導入していたり、1台で数種類のレーザーや脱毛方法が受けられる機器もあります。
脱毛機器を基準にクリニックを選ぶことで、理想的な肌を目指せるでしょう。
まとめ
医療レーザー脱毛機器には様々な種類があり、「脱毛したい部位」「自分の毛質」「肌質に合う」脱毛機器を選ぶことをおすすめします。
医療用の脱毛機器なら医療行為として発毛組織を破壊することができるため、どの機器にも永久脱毛の効果があります。
そのため、施術回数を重ねることで体感することができますが、脱毛機器選びを間違えてしまうと、想定していた期間よりも長くなったり、追加費用がかかる恐れがあります。
効率的な医療脱毛をする場合には、脱毛方法やレーザーの種類の違い・特徴を予め理解しておくようにしましょう。
脱毛回数や期間・費用を無駄にしないよう、自分に合った脱毛機器選びをおすすめします。