今後の脱毛サロンの市場規模は?|拡大する脱毛市場の推移について解説

今後の脱毛サロンの市場規模は?|拡大する脱毛市場の推移について解説

新型コロナウイルスの影響で、エステサロン業界は大きな打撃を受けました。売上げが減少したり閉店を余儀なくされたりしたサロンは少なくないはずです。

3年に及んだパンデミックは終わりを迎えつつあり、ウイルスとうまく付き合いながら生活を送る「Withコロナ」の時代がやってきます。

本記事では、今後の脱毛サロン業界の展開や脱毛市場の推移について詳しく紹介します。

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近年のエステティックサロン業界全体の市場規模

まずは近年のエステティックサロン業界全体の市場規模について紹介します。

コロナ前の2019年、エステ業界の売上規模は年間約4,000億円でした。

2020年からはコロナウイルスの影響を大きく受け、2021年には売上規模が3,700億円にまで減少しました。2022年には売上げが微増し3,900億円を超えたものの、パンデミック前の水準に戻ったとはいえません。

安価で気軽に施術できるセルフエステが人気を集めている一方、脱毛業界では全国展開の大手チェーン2社が破綻し店舗数が大きく減少しました。

縮小傾向にあるエステ業界の中でもメンズエステ業界は好調で、男性美容の需要が高まっていることがわかります。20代・30代の若い世代の脱毛需要が高まっていることも、好調を支える要因の一つです。

出典:2019年エステ業界の売上規模(ホットペッパービューティーアカデミー)

今後の脱毛サロンの市場規模は?

コロナウイルスによって大きな打撃を受けたエステサロン業界の市場規模は、今後どう変化していくのでしょうか。

「Withコロナ時代」といわれる2023年は、前年に比べて売上規模が回復する見込みです。男性向けのサロンや、安価で気軽に通いやすいセルフ脱毛サロンも引き続き人気を集めるといわれています。

しかし、コロナ禍に発生した大手の経営破綻や返金トラブルは、将来顧客になりうる若い世代にまで不安を与える結果となってしまいました。

今後は今までに増して「サロンの信頼性」「安心感」などの部分が試されるようになります。

今後の脱毛業界で生き残るためには、サロンの実力を示して新規顧客の定着を図っていく必要があります。

拡大する脱毛サロン市場の推移

エステサロン業界全体は規模が縮小しているものの、実は脱毛サロン市場は拡大を続けています。

エステサロン業界は大きく分けて「脱毛サロン」「フェイシャルサロン」「ボディケア・痩身サロン」の3つに分けられます。

フェイシャル・ボディケアの需要は年々減少しているものの、脱毛サロン業界は成長を続けている注目トピックです。

医療脱毛との競争激化・価格競争による価格低下・美容意識の進化などが理由で、脱毛サロン業界は成長を続けています。

近年は男性にも脱毛が広がり、20代〜30代の若い男性が脱毛を受けるケースが急増しています。男性向けサロンはさらに需要が増え続けるという予測もあり、脱毛業界は今後も拡大を続けていくと考えられます。

脱毛サロンの売り上げが好調な理由

脱毛サロンの売上げが好調な理由としては、以下の3つが考えられます。

  • 男女ともに幅広い需要がある
  • 低コスト・低リスクで経営できる
  • 低価格化による客足の増加

それぞれの理由について詳しく解説します。

男女ともに幅広い需要がある

男女ともに幅広い需要があることが、脱毛サロンの売り上げが好調な理由の一つです。

女性の場合、10代から50代までの幅広い年齢層の方がムダ毛に関する悩みを抱えているといわれています。

脱毛を始める顧客の低年齢化が進み、最近では「キッズ脱毛」に代表されるように小学生・中学生の脱毛需要も増加しています。

男性の美意識の変化に伴って脱毛需要も増加しており、メンズ脱毛サロンは年々増加中です。

「脱毛=エチケット」という意識が高まり、性別を問わず幅広い年代が脱毛を受けていることが、脱毛サロンの好調につながっています。

低コスト・低リスクで経営できる

低コスト・低リスクで経営できることも、脱毛サロンの好調を支える要因の一つです。

脱毛サロンは他業種に比べて低コストで参入でき、ムダな在庫を抱える可能性もほぼないため低リスクで経営できます。

さらに、専門的な技術が必要な痩身やフェイシャルと異なり、特別な技術や資格を必要としません。

最近では「セルフ脱毛」と呼ばれる新しい脱毛サロンの業態が人気を集めています。顧客が自分で脱毛を行うためエステティシャンを揃える必要がなく、人件費を削減できる手法です。

低価格化による客足の増加

低価格化が進み客足が増加していることも、脱毛サロンの売り上げが好調な理由の一つです。

かつて光脱毛は全身の施術に100万円以上かかることが少なくなく、非常に高価なイメージがありました。しかし近年は、機械の進化や価格競争によって20〜30万円にまで相場が下がり、低価格化が進んでいます。

かつては手の届かなかった脱毛も、相場が下がったことで若い方でも気軽に施術を受けられるようになり、脱毛サロンを利用する顧客の数は増加中です。

セルフ脱毛の流行によって低価格化はさらに進み、「低価格・高品質」を実現するサロンの需要がますます高まっています。

今後注目される脱毛サロン市場の動向

今後の脱毛サロン業界はどのように変化していくのでしょうか。

コロナ禍の終息に伴い、2020年から減少傾向にあった売上高はコロナ前の水準に近づくと予想されています。Withコロナの動きが高まっていることから、脱毛を控えていた層が動き出すことも期待できます。

今後の脱毛サロン業界で、とくに需要を伸ばしていくことが期待されるのは、以下の3つの分野です。

  • メンズ脱毛
  • キッズ脱毛
  • セルフ脱毛

年齢・性別を問わず脱毛が一般的になりつつあり、メンズやキッズ向けの脱毛が注目を集めています。さらに、安く脱毛を受けられるセルフ脱毛も注目の分野です。

それぞれの脱毛についてさらに詳しく解説します。

メンズ脱毛

脱毛サロン業界の中でもメンズ脱毛は最も成長が期待されており、市場価値が高い分野です。

男性の脱毛需要は急激に増加しており、リゼクリニックの発表によれば男性の顧客数は5年間で11倍増加したといわれています。SNSやインフルエンサーの影響を受けて男性の美意識が変化し、メンズ脱毛は一般的になりつつあります。

「ハイジ男子」「アスリート脱毛」という言葉が登場し、メンズ脱毛を紹介するメディアも増加しました。

脱毛サロンの利用状況を調査した結果、20代・30代の男性の利用率は約8%でした。一方で40代以降の利用率は0%で、脱毛が若者から特に人気を集めていることがわかります。

出典:メンズ脱毛市場調査(メンズ美容業界研究会)

また、アンケート会社が行った「今後受けてみたいサービスはあるか」という調査に対し、10代男性の27.6%が「脱毛」と答えており、男性脱毛の需要が高まっていることがわかります。

今後脱毛サロンを展開していく上で、若い男性のニーズを取り込むことが非常に重要なポイントです。

男性脱毛が一般的になりつつあるとはいえ、脱毛を受けたことがない方やメンズ脱毛の存在を知らない方はまだまだたくさんいます。

潜在顧客をうまく取り込み継続して通ってもらえる取り組みを行うことで、よりサロンの価値が高まるでしょう。

女性客に比べて男性客は体験すると契約に結び付きやすく、気に入ったサービスには費用を多くかけるという傾向があります。

男性客をうまく取り込むには、来店のハードルを下げた上でサロンを気に入ってもらい、継続して通ってもらえる環境を作ることが重要なポイントです。

キッズ脱毛

小学生・中学生を対象としたキッズ脱毛も、今後の伸びが期待される分野です。

実は授業や習い事でムダ毛に悩む子どもは多く、小学生・中学生の脱毛需要が増加しています。特に水泳やバレエ・ダンス等の習い事は肌を露出する機会が多いため、ムダ毛が気になる子どもが多いようです。

脱毛への理解がある母親も多く、小学校低学年などの早い段階から子どもに脱毛を受けさせるケースも少なくありません。

キッズ脱毛では全身脱毛よりも部分脱毛のニーズが高いといわれています。習い事やスポーツで人目につきやすい腕・足・ワキといった部分を脱毛したい方が多いためです。

バレエや新体操を習っている子どもはうなじの脱毛を希望することが多いほか、「眉毛が繋がって見える」「鼻下の産毛が気になる」という悩みを抱える子どもも多く、顔脱毛の需要も増加しています。

キッズ脱毛を展開する場合は、腕・足・ワキがセットになったメニュー・顔やうなじをケアできるプランなどを用意して、顧客のニーズに答えられるように工夫しましょう。

キッズ脱毛を取り扱う場合、安全性に特に注意して施術を行う必要があります。施術前には保護者に向けて、注意事項や万が一肌トラブルが起きた際の対応を説明しておかなければなりません。

大人に比べて子どもは日焼けをする機会が多いですが、脱毛は日焼けをすると受けられないため、日々UVケアを行ってもらう必要があります。UVケアを徹底するのが難しい場合、春夏を避けて施術を行うことがポイントです。

子どもの肌は敏感でトラブルを起こしやすいため、施術中には普段以上に声かけや痛みの確認を行い、注意して脱毛をすすめることが大切です。

セルフ脱毛

安くて気軽に施術を受けられるセルフ脱毛は、今後も拡大が期待できる分野です。

セルフ脱毛は他人との接触を避けられることから、コロナ禍で爆発的な人気を集めました。

さらに「月額制・通い放題」「無人店舗」「ネット予約で手軽に通える仕組み」を確立し、従来のエステ脱毛の課題であった「不明瞭な価格形態」「過剰な押し売り」「予約の取りにくさ」から脱却しました。

セルフ脱毛はエステティシャンを育成する必要がなく人件費を抑えて営業できることから、経営側のメリットも多い営業形態です。しかし、今後これ以上人気を拡大することは期待できない分野だといわれています。

セルフ脱毛は平日の遅い時間帯や土日でも施術を受けられることから、利用客の多くは働き盛りのOLです。都心では人気を集めやすい営業形態ですが、地方での広がりはあまり期待できません。

マシンを多数導入する必要があるため、初期投資が高額になりやすいのもネックです。また、自分で機械を使いこなせない方にとっては受け入れづらく、従来通り店舗で施術を受けた方が良いと感じる方は少なくありません。

コロナ禍が終わりつつある現在、セルフ脱毛の勢いは落ち着いていくと考えられます。しかしやり方によってはまだまだ成長が見込める分野といえるため、顧客のニーズをいかに引き出せるかが重要です。

まとめ

本記事では、今後の脱毛サロンの市場規模・脱毛市場の推移について解説しました。

3年に及んだコロナ禍でエステサロン業界全体の規模は縮小したものの、脱毛業界は成長を続けていることがわかりました。

脱毛業界の好調の裏には、男性脱毛の需要増加・価格競争による低価格化といった理由があります。

今後は男性脱毛やキッズ脱毛の需要がさらに増加すると見込まれます。サロン側は顧客のニーズをいち早く取り入れ、需要に合ったメニューを展開することが重要です。

このコラムの執筆者

株式会社コンフォートジャパン コラム編集担当
株式会社コンフォートジャパン コラム編集担当
株式会社コンフォートジャパン コラム編集担当
コンフォートジャパンのコラム編集担当です。
美容業界で長く美容機器メーカーとして存続しているコンフォートジャパンが、皆様のお声に応えるべく、脱毛関連はもちろんのこと、サロン運営に役立つ情報を発信していきます。